「逆境が大好物」「W杯5大会連続出場で優勝」39歳長友佑都のサッカー人生を支える“中学時代の恩師の言葉”とは国際親善試合・米国-日本。前半、パスを出す長友佑都(右)。2025年9月9日、アメリカ・コロンバス Photo:JIJI

39歳になったばかりの日本代表のDF長友佑都(FC東京)が「伝説を残す」と新たな目標を掲げた。来年6月にアメリカ、カナダ、メキシコで共催される次回ワールドカップで、日本人選手で初めて5大会連続出場を果たすだけでなく、レギュラーを射止めて優勝に貢献する。不要論を含めた批判を受けながらも一途に前へと進む生き様を支えてきた3つの要素、逆境を好む思考回路、あえてプレッシャーを背負うマインド、そして波瀾万丈に富むキャリアを支えてきた金言を追った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

38歳で挑んだ最後の試合で
アメリカに完敗

 想像通りというよりも、予想をはるかに超越していた。今年の9月12日に39歳になった大ベテランの長友佑都が、不惑を迎えるまでの1年間で見せていきたいものや目標を問われた直後だった。

「伝説を残す、ということを自分自身に課してやっているので」

 38歳で臨んだ最後の一戦は、森保ジャパンの一員として先発した9日(日本時間10日)のアメリカ代表との国際親善試合。ゲームキャプテンとして先発した長友は前半に喫した先制点に絡み、自身はハーフタイムで交代。日本代表は後半にも追加点を奪われて、0-2の完敗でアメリカ遠征を終えた。

 日本は0-0で引き分けた6日(同7日)のメキシコ代表戦から、先発11人が全員入れ替わっていた。アメリカ戦は控え組が中心だったが、長友は「正直、話にならない」と自分たちにダメ出しした。

「ワールドカップ優勝という目標を掲げている以上は、全員が同じレベルで戦えなきゃいけないので」

 不甲斐ない戦いぶりに、SNS上では森保ジャパンへの批判に加えて、見せ場なくベンチへ下がった長友の不要論も飛び交っていた。そして、帰国直後の15日にFC東京の一員として臨んだ東京ヴェルディ戦で先発フル出場。チームの勝利に貢献した直後の取材エリアで、冒頭のやり取りがあった。