日本のアニメの主人公を描くのが楽しみ
かつての夢はディズニーのアニメーター
中国で生まれたヤヤ・ハンは母親と共にドイツに移民したが、現地の環境になじめず、高校時代にひとりで米国・アリゾナ州のホームステイ先にやって来て、そのまま米国に移民した。当時の彼女の楽しみは日本のアニメや漫画に出てくる主人公の絵をペンで紙に描くこと。夢はディズニーのアニメーターになることだった。
1999年にカリフォルニア州で開催された「アニメ・エキスポ」でアニメの主人公の扮装をしている人たちを初めて見て、それがコスプレだと知り「自分がやりたいのはこれだ!」と衝撃を受ける。
40ドルで中古のミシンと安い布を買って独学で衣装を作りはじめた。当時はまだ「一部のオタク趣味」だったコスプレを通じ、同じ情熱を持つ仲間たちと出会い、彼らとの友情がたったひとりで米国に移住した彼女の精神的な支えとなった。
高校卒業後、自分で描いたファンアートの絵画を売りながら、企業でデータエントリーの職につき、仕事の時間以外はひたすらコンテスト出場用の衣装を縫った。コスプレのイベントで現在の夫ブライアン・ボリングと出会い、ふたりで「猫の耳」や「エンジェル・ウィング」などのコスプレ用のアクセサリーを作って売り始める。
次第に「世界中のアニメ・イベントに出て、コスチュームを作ってそれで生計を立てたい」という思いが抑えられなくなり、夫とふたりで共に仕事を辞め、フルタイムでコスプレ業1本に絞る決断を下した。
「会社勤めを辞めて定収入を失うのは怖くなかったか?」とヤヤ・ハンに聞くと「正直怖かった。でも夫とふたりのチームだったから決断できた」と即答した。
そうはいっても、コスプレ用の衣装やアクセサリーをネット上で売るのは簡単ではなかった。フェイスブックのマーケットプレイスに自作の商品を300点載せても、150点は却下され、まるで収入にならなかった。
たとえば「猫耳アクセサリー」はその名称だけで“動物性の製品”だとアルゴリズムに勝手に認識されて、自動で削除されてしまったのだ。
「今はTikTokショップで商品を売ることも可能だけど、バズってからしばらくしてその商品を検索しようとしても、ネット検索にひっかからないことが非常に多い。SNSでは賞味期限がほぼ2週間と短いから」
そのため、ヤヤ・ハンは自分のサイトにショップ機能を付けている。SNSでバスりが収束した後も自分のサイト上でなら、長期に渡る継続販売が可能だからだ。







