
「俺とヘブンさんが帝大に連れて行く」
天窓の件はたぶん、セットの問題だと思うが。薄暗いリアリティーを出しているので、少しでも光が漏れる箇所が欲しいのだろう。
そんな事情の推察はさておき、錦織はヘブンの本を読んでいて、「文学的にも気が合う唯一の親友である」の1文を読んでにやにやしている。
ついつい何度も読み、リフレインする。
そこへ弟の丈(杉田雷麟)が入ってくる。
「なにニヤニヤしてたの」
「ニヤニヤしてないが。したことがない、ニヤニヤなど」
素直じゃない錦織。
虫が嫌いなのに飼っていて。虫関連の資料もある。
「虫嫌いじゃなかったっけ?」
「ヘブンさんが次の本の題材に虫はどうだろうと言っていたので」
とにかく錦織はヘブンに夢中なのだ。校長なんてやる気がないんじゃないかと思うが、彼が校長をやる気になった本当の理由がここで明かされる。
「中学を出たらどうしたい?」と丈に問う錦織。これが聞きたくて弟を部屋に呼んだらしい。
丈が「ゆくゆくは兄貴と同じ帝大に」とおずおずと答えると、「よく言った。おれもお前を帝大にとずっと考えていた」と喜んで、気になる、校長をやる決意をした理由を語りだす。
実は丈を帝大に連れて行くためだったのだ。
「俺が校長になり、ヘブン先生がいる松江中学校の校長という看板を使ってお前たちを高等中学に進学させ、帝大への道筋をつくる。俺とヘブンさんが帝大に連れて行く。お前はとにかく勉強を頑張れ」
弟思いのいい兄だとは思うが、「ヘブン先生がいる松江中学校の校長という看板を使って」という言い方が引っかかる。この世は所詮(しょせん)、コネというツッコミをテレビを見ながらしている視聴者もいるのではないだろうか。







