就活で100社にエントリーしても
ほとんどが書類落ち

 こうして波乱万丈の6浪生活を終えたロクさん。

 彼に浪人して良かったことを聞くと、「勉強を積み上げる習慣ができたこと」「失敗、挫折し、軌道修正してきた経験ができたこと」、頑張れた理由に関しては「途中から大学受験勉強が楽しくなってきて、学ぶ楽しさを知ったから」と答えてくれました。

「浪人をした経験は、社会人になった後も活きていると思います。TOEICやビジネス系の資格取得の勉強を継続してコツコツできるようになりました。仕事で辛いことがあっても、あのときに比べればマシだと思えるようになったのはとても大きいですね」

 24歳での大学生活は、最初の1年こそ公認会計士の資格取得の難しさを肌で痛感して1カ月で挫折し、なかなか友達もできずに孤独な日々を過ごしたそうですが、6浪を気にして自分が周囲と距離を作っていたことに気づき、2年目から少人数制の授業を率先して受けていったら少しずつ友達ができて、大学生活が充実してきたそうです。

 就職活動でも、IT企業を中心に100社にエントリーするも、ほとんど書類で落ちて面接に進めたのは10社ほど。とあるIT企業で受けたグループワークでは、途中で人事に呼び出され「その年齢で選考を受けて、他の学生がかわいそうだと思わないの?」と辛辣な言葉を浴びせられ、落とされたこともあったそうです。

 しかし、その後もくじけずに志望する業界を広げて就職活動を続けた甲斐もあり、東日本エリアを管轄している大手鉄道会社に就職することができました。

 内定をいただいた会社の面接では、「私はこの経歴ですが、人より辛い思いをした分、人の痛みがわかりますし、会社のサービスにも活かしたい」と熱意を伝えたところ、当時の面接官が真剣に話を聞いてくれたそうです。

「6浪での就活は不安でしたし、実際に書類で通らなくて大変な思いもしましたが、自分をちゃんと見てくれている会社もあるのだと思いました」

「多浪は就職できない」は
果たして本当なのか?

 29歳で就職した大手鉄道会社では23歳と同じ基本給で働いたものの、10年働いて主任に昇進したロクさんは、コロナ禍による業績不振をきっかけに大手通信会社に転職します。

 その後、42歳で今のIT企業に転職し、現在はマーケティングマネージャーとして働いているそうです。6年遅れから、現在自身のキャリアを構築しているロクさん。

「浪人すると生涯年収が減ると言われますが、自分次第でどうにでもなります。就職したら多浪は関係ありません。実際、年齢でボーダーを引いている会社もあるかもしれませんが、全然気にしなくて大丈夫です。私もこれまで採用を担当したことがありますし、すごく採りたいなと思った人がいれば、年齢は気にせず採りますから。

 ネットに書かれているような『多浪したら就職できない』とか、『多浪したら人生終了』とか、そういった書き込みは真に受けないことです。一度社会に出たらいろんな経歴の人がいることに気づくと思います」

 6浪を経験したことが逆に、「何でも積極的に挑戦する」姿勢につながったと語るロクさんの人生からはまさに、マイナスの状況も自分次第でプラスに変えられるのだということを教えていただきました。