2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいい のか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。
家族もひとつの「組織」
研修先や講演で、「勅使川原さんが、子育てで大事にしていることって何ですか?」と聞かれることがあります。
私の話を聞いて「人って、組み合わせなんだ!」と気づいてくださった方が、組織の話をパートナーシップや親子関係にも応用できると思い、質問してくださるのです。
私は、長男と長女、2人の子どもを育てる母親でもあります。
そんな私が心がけているのは、「良し悪しをつけない」ということです。私の「当たり前」でジャッジしない、ということです。
大人が思っている以上に伝わってしまう
たとえば、「すごいね」「偉いね」といった言葉はなるべく使わないようにしています。
どれも思いのほかジャッジメンタルな言葉だからです。言い換えると、「条件付きの愛」。
たとえば、子どもがテストで100点を取ってきたとします。つい「偉いね」と声をかけたくなるかもしれません。
でも、「100点を取って偉いね」を裏返すと、「100点を取らないと偉くない」ということになります。子どもは大人が思っている以上に敏感ですから、そのことにちゃんと気づきます。
もし子どもがテストで100点を取ってきたら、私ならこう言います。
「そうなんだ、やったじゃん」
「100点だったんだ、いっぱい勉強したんだね」
無理にほめることはありません。ただ、受け止めてあげればいいのです。
とにかく「会話をつづける」こと
もうひとつ大事にしているのは、「会話をやめない」ということです。
たとえば、子どもが点数の悪かったテストを隠していたとします。親としては、見過ごすわけにはいきません。
ただそこで、「なんなの、これ! ちゃんと見せなきゃだめじゃない!」と頭ごなしに怒るようなことはしません。
テストを隠したという行動の背景には、子どもなりの論理があるはずだからです。
「本当の気持ち」をわかるために
「隠してるの、わかってるよ。お母さんに見せたくなかったんでしょ? どうして見せたくないと思ったの? 前にお母さん怒りすぎたかもね」
そう相手にボールを投げて、会話をやめないということが大事です。
「うん。だってお母さん、点数が悪いとがっかりした顔をするから……」
もしかしたらこんなふうに、無意識のうちに表情でジャッジしていたことに気づかされるかもしれません。
もし頭ごなしに怒っていたら、子どもの本当の気持ちを知ることは到底できなかったでしょう。
「自分はどんなことがあってもあなたと会話をつづける存在だよ」
そう伝えることが愛情だと私は思っています。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太