3月末。生命の未来研究所(FLI)(編集部注/AIを取り巻く大規模なリスクを考える非営利団体)が、GPT-4よりも強力なAIモデルの開発を6カ月停止するよう呼びかける公開書簡を発表した。イーロン・マスクや、AI研究の第一人者ヨシュア・ベンジオ、アップル共同創業者スティーヴ・ウォズニアックなどの著名人を含む1000人以上が署名した。
これがアメリカ政府の目を引いた。
2023年5月4日。アルトマンはナデラ(編集部注/サティア・ナデラ。マイクロソフトCEO)、ピチャイ(編集部注/スンダー・ピチャイ。グーグルの親会社であるアルファベットのCEO)、アモデイ(編集部注/ダリオ・アモデイ。オープンAI研究担当副社長。のちにアンソロピック共同創業者)、クラーク(編集部注/ジャック・クラーク。オープンAI公共政策責任者)とともにホワイトハウスに呼ばれ、副大統領のカマラ・ハリスや商務長官のジーナ・レモンドなどとAIのリスクについて2時間にわたって会談した。
バイデン大統領も顔を見せ、チャットGPTを試してみたよと声をかけた。
上院司法委員会の公聴会は
アルトマンの思惑通りの展開へ
そのすぐ後の5月15日。アルトマンは上院司法委員会の公聴会で証言した。
一般に、テック企業のCEOが上院に召喚されるのは「公開処刑」のようなものだ。だがこの日の証言では、それとはまったく異なる光景がくり広げられた。
濃紺のスーツとネクタイに身を包み、強烈なまでに真摯な表情を浮かべたアルトマンは、上院議員たちを思う方向に導いた。彼らの発言をすばらしいアイデアだと称賛し、協力を買って出、AIの規制に賛成した。
「この技術がまちがった方向に進んだ場合、かなりまずいことになるかもしれません」と思わせぶりに言って、世界中のニュースの見出しをさらった。
ルイジアナ州選出の共和党上院議員ジョン・ケネディは、アルトマンが示唆した「AI規制機関」を設立するとした場合、運営できる人を誰か知っているかと訊ねーーそんなに金儲けに熱心でなければ、アルトマン自身が運営できるだろうと、当てこすったのだ。







