サム・アルトマンPhoto:SANKEI

急成長する生成AIで世界を揺さぶるオープンAI。そのトップに立つサム・アルトマンは、ホワイトハウスや上院に招かれながらも、自社株を一切持たない「無欲で謙虚なCEO」を演じ、政策当局の警戒心を巧みに和らげていった。しかしその裏で、反オープンAI陣営による強力なロビー活動が進み、規制をめぐる力学には揺り戻しも生じていたという。AIと政治が交差する緊迫の舞台裏を、ウォールストリート・ジャーナルの記者が丹念に追う。※本稿は、キーチ・ヘイギー著、櫻井祐子訳『サム・アルトマン「生成AI」で世界を手にした起業家の野望』(NewsPicksパブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

社会や経済への影響は未知数
全世界を震撼させるGPT-4公開へ

 2023年3月。安全性テストのために少々遅れたが、オープンAIはとうとう「GPT-4」を公開する。そしてこの時全世界が、シリコンバレーの「ゼロを加える」精神(編集部注/アルトマンのメンターであるポール・グレアムは、当初の目標数値にとどまらず、例えば「100万ドルより10億ドル」のように、桁を変える仕事を目指せと助言していた)の威力を目の当たりにしたのである。

 オープンAIはモデルの詳細情報を非公開としたが、専門家はGPT-4のパラメータ数を、GPT-3の約10倍の約1兆7700万個と推定した。GPT-3は俳句を詠めたが、GPT-4は弁護士試験の合格ラインを超えた。

 大学では教授たちが、AIの利用に関する方針や最終試験を実施する方法を慌てて策定した。

 投資家は、AIが投資先企業のコストにおよぼす影響を知りたがったーー20%、いや30%のコスト削減になるだろうか?どれくらいの人数が解雇されるのか?影響は今すぐ出るのか?