例えば、愛しい自分のパートナーや子どもがつらそうなときに、思いやりの感情を向けるとか、犬や猫のような自分のペットに思いやりを注ぐという人は少なくないと思います。反対に、「他人から自分への思いやり」を向けられる経験をした人も多いのではないでしょうか。

『「いつも不安で頭がいっぱい」がなくなる本』書影「いつも不安で頭がいっぱい」がなくなる本』(清水栄司、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 さらに、「自分から自分へ向ける思いやり」を、セルフ・コンパッションと呼び、こころの健康に非常に重要とされています。

 全般不安症(編集部注/何か特定のことに限らず、さまざまなことが不安になってしまう病気)やうつ病の人は、前述したように自分から自分への思いやり(セルフ・コンパッション)を向けるのが苦手です。自分に厳しく、自分を甘やかすことができません。

 自分に思いやりを向けると、どんどん堕落してダメな人間になってしまうという恐れがあるようです。でも、それは「0か100か」の思考、あるいは、完璧主義におちいっている証拠です。

 多少、自分に思いやりを向けたからといって、そう簡単にそこまでひどく堕落することはできません。中庸を思い出してください。思いやりがゼロになってしまっていることに気づき、ほどほどの思いやりの感情を注ぎましょう。