そこに、コンパッション(思いやり)という第三の感情を位置付けるという発想です。

 喜びや楽しさといったポジティブな感情についても、躁状態といって、過剰なハイテンション(気分の高揚)が1週間以上続いて、日常機能障害が出る、双極症の躁状態という精神疾患の診断がつくことがあります。

 また、「楽しすぎてやめることができない」「喜びすぎて感情をコントロールできなくなる」といったゲーム依存症やネット依存症、アルコール依存症、薬物依存症、買い物依存症、過食症などが挙げられます。

「ネガティブな感情をポジティブな感情にすればよい」とは一概に言い切れないわけです。やはり、ネガティブな感情とポジティブな感情も、どちらも大切で、ただどちらかに偏りすぎずに、バランスがとれていることが重要です。

 感情には神経伝達物質との関連性があることが知られ、不安や悲しさのようなネガティブな感情は、セロトニンとの関連が知られる一方で、喜びのようなポジティブな感情は、ドーパミンとの関連が知られています。

 それでは第三の感情である「思いやりの感情」はどうでしょうか。

 私は、思いやりの感情は、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンと関係していると考えています。オキシトシンは、パートナー同士でのハグや手を握るような触れあいで増加することが知られています。

 動物でも、サルが毛づくろい(グルーミング)をしたり、犬や猫が授乳などをしたりしているときに、思いやりとオキシトシンが作用しているのです。

完璧主義におちいると
自分を労るのも苦手になってしまう

「思いやりの感情」は、人と人との絆を深めるために働きます。群れをつくる動物や社会的な存在である人間にとって、周囲の仲間との絆の形成は生存にとって重要な関係です。

「思いやり」というと、痛んでいる人、苦しんでいる人、困っている人に何かをしてあげる「自分から他人への思いやり」が一番イメージしやすいかもしれません。