例えば「がんを診断されるのが不安で仕方がない」という人は、ワースト・ケース・シナリオとして、自分が医師からステージ4の末期がんで余命3カ月と診断され、その後3カ月間、全身に痛みを抱えながら、誰にもケアされることなく、苦しみ、うなされ、死んでいく自分を想像します。
そしてその空想をシナリオとして、ノートに書き起こします。そのワースト・ケース・シナリオを声に出して読み上げて録音し、エンドレス設定で、毎日1時間聞くようにします。
ワースト・ケース・シナリオを聞いて、自分が不安になる最悪のイメージに対する不安の点数を記録してみると、時間とともに、あるいは、練習する回数とともに、そのイメージに対する不安が薄れていくことがわかるのです。
最初は自分の想像に苦しんでいた人が、しだいに小説を読んでいるかのように客観的に観察し、受け入れる(アクセプタンス)ことができるようになります。
飛行機に乗るのが不安な人も同じです。
飛行機が墜落するパニック映画を見れば、「こんなことはほとんど起きないから映画になっているわけであり、現実にはそうそう起きないことじゃないか」などと思えます。
あるいは自分が乗った飛行機が墜落する状況を繰り返しイメージしているうちに、「まあ、本当にこんなことがあったら最悪だけど、怖がっていてもしょうがない」といった達観に至ることがあります。
不安を克服したい人には、段階的曝露療法を試してみる価値があります。
ネガティブとポジティブの
バランスが精神を安定させる
認知行動療法では最近イギリスのポール・ギルバート博士による「コンパッション・フォーカスト・セラピー」という手法に注目が集まっています。
コンパッション(compassion)は「思いやり」の感情です。「コンパッション・フォーカスト・セラピー」は思いやりにフォーカスした療法のことです。
これまでは、不安や怒り、悲しみといった不快感のネガティブな感情に対して、喜び、うれしさという快感のポジティブな感情というように、感情を快・不快の2つに分類することが一般的でした。







