◆9割の管理職が勘違いしている“部下とのコミュニケーション”
部下が動かない、Z世代との距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンクで「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)だ。生身のリーダーに求められる最強の武器は生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。単なる同情ではなく、相手の視点を論理的に理解する「認知的共感」の技術を体系化した、悩める上司たちの「読むサプリ」だ。呼吸を合わせる基本から、自身の無意識を言語化する応用、さらには「飲み会の失敗事例」や「エース部下の退職」といった実例に基づく「しくじり」分析まで網羅。表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウが詰まった決定版!
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
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辞書の定義を超えた「真の共感」
共感とは、いったい何なのでしょうか? 辞書的には「他人の意見や感情をその通りだと感じること」ですが、私はさらにこう考えています。
「共感とは、他人(相手)が見ている世界や考えていること、感じていることを、その人の立場に立って理解しようとすること」。
「同情」と「共感」の決定的な差
英語では共感を「エンパシー(empathy)」と呼びます。似た言葉に「シンパシー(sympathy)」がありますが、意味は異なります。
シンパシーは「同情」と訳されることが多く、自分自身の価値観をもとに相手の状況に理解や感情を寄せるもの。つまり、基準になるのは「自分」です。
「相手の靴」を履いて歩く
一方、エンパシーは相手の立場や視点に立って、相手の感じていることを自分の内側で理解しようとする行為。相手を“自分のモノサシ”ではなく、“相手のモノサシ”で理解することなのです。
【解説】リーダーに求められる「知的作業」としての共感
多くの人は、共感を「感情的な反応」だと思いがちです。しかし、ビジネスにおけるエンパシーは、むしろ高度な知的作業といえます。自分の価値観(モノサシ)をいったん脇に置き、「なぜこの部下はこのような行動をとったのか?」「彼の背景にはどんな不安があるのか?」と推論を重ねるプロセスだからです。
リーダーが「自分ならこうするのに」という主観を捨て、相手の靴を履こうと努めることで、初めて部下との間に心理的安全性が構築されます。
組織の生産性を高める「エンパシーの効能」
管理職がエンパシーを磨く最大のメリットは、「情報の解像度」が劇的に上がることです。
●適切な動機付け:自分の価値観を押し付けるのではなく、相手の価値観に沿った言葉選びができるようになるため、指示の浸透速度が速まります。
「同調」せずとも「共感」はできる
ここで重要なのは、相手の意見に賛成(同感)する必要はないということです。「あなたの立場なら、そう感じるのも無理はない」と、その背景を論理的に受容することがエンパシーの真髄です。
たとえ最終的な判断が部下の希望に沿わないものであっても、「自分の視点を理解しようとしてくれた」という事実は、リーダーへの揺るぎない信頼へとつながります。
自らのモノサシを広げ、多様な「相手の靴」を履き替える柔軟性こそが、変化の激しい時代のリーダーに求められる真の資質なのです。
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









