赤いペンを持った手写真はイメージです Photo:PIXTA

たった1つの編集事故が、媒体が築いてきた信頼や記事の信ぴょう性を一瞬で壊してしまうことがある。編集者が実際に失敗したトンデモ事例を踏まえて、有効な校正メソッドを4つ紹介する。※本稿は、ワン・パブリッシング取締役社長の松井謙介『生成AI時代にこそ学びたい 自分で文章を書く技術』(マイナビ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

締め切りに追われた結果
信じがたい編集事故が…

 私は元々月刊情報誌の編集者でした。自分で原稿を書くことも多く、それを自分で校正・校閲し、校了(「この内容で印刷してね」というところに持っていく最終確認作業)まで担っていました。

 毎号200ページ近い情報を編集し、校了していくなかで、編集事故も多々発生。その都度関係各所に頭を下げてきたわけです。

 何度かあったのが「アタリ原稿のまま印刷してしまうこと」。「アタリ」とは、雑誌のデザイナーさんが「文字数の目安」として入れ込んだダミー原稿のことです。

 このアタリを正しい原稿に差し替えないまま校了・印刷してしまう事故は、そこそこの頻度で発生するものです。

 私の担当した雑誌でも、iPhoneの新機種を紹介する写真のキャプションに、「この温泉は『美人の湯』とも呼ばれ、ツルツルの感触で肌をなめらかにしてくれます」なんてアタリの文章が入っていたこともありました。恐るべき新機能です。どうか皆さんAppleには内緒にしておいてください。