株式投資で資産を増やし続ける人たちは、「株の売買タイミング」をどう見極めているのでしょうか?「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」―そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。著者は、2000億円超を運用した元ファンドマネジャー、楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書のポイントを紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

株のプロに学ぶ「売り時」の見極め方、チャートが教えてくれる1つの視点Photo: Adobe Stock

ローソク足で相場の強弱を読み解く

「利益が出ると、すぐに売りたくなる。でも、損が出ると『いつか戻るはず』と握りしめてしまう……」

 もし、あなたに心当たりがあるなら、株で損が拡大していく「負の連鎖」にはまっているかもしれません。

 窪田さんは、本書の中で次のように指摘しています。

『利確は早く、損切りは遅い』のが個人投資家、初心者の悪いクセです」(『株トレ』より)

 資産を増やすためには、「損小利大のトレード」が理想的ですが、多くの個人投資家は、その逆のトレードをしてしまいます。感情に引きずられることで、損な行動を重ねてしまうのです。

急落後のリバウンドをどう見る?

 では、具体的なチャートを見ながら、どのように判断すればいいのか、考えていきましょう。

 次のA社の日足チャートを見てください。

 2,500~2,600円のボックス圏で推移していたA社の株価が、ある日突然、急落しました。

 その後、急反発した局面です。

 この動きを見て、あなたはどう考えるでしょうか。

株のプロに学ぶ「売り時」の見極め方、チャートが教えてくれる1つの視点

「急落したけれど、リバウンドしてきた。いずれ元の2,500円台まで戻るのではないか。ここで売ると損失が確定してしまうし、もう少し様子を見よう」

 多くの個人投資家は、こうした心理に陥りがちです。しかし、窪田さんはこの場面を「売り」だと断言します。

下落の勢いを打ち消すには不十分な反発

 A社は、それまで値動きの乏しい状態が続いていたところから、いきなり大陰線をつけて急落しました。

 下落率は1日で約15%。通常の値動きとは言いにくく、何らかの悪材料が出たのでしょう。

 さらに注目したいのは、その後のローソク足です。

 大陰線を完全に打ち消すような、より長い大陽線がすぐに出ない限り、下落のモメンタムは消えていないと窪田さんは指摘します。

 このチャートを見ると、暴落の翌日に出た大陽線は、前日の大陰線よりも短く、A社の下落モメンタムを十分に打ち消しているとは言えません。

 さらにその翌日には、「上ヒゲつき陰線」が出現しています。これは、反発が一服し、株価の動きがいったん落ち着く可能性を示唆する形です。

 こうした点を踏まえ、窪田さんは、目先の値動きについて次のようなレンジを想定できるので、このチャートは「売り」だと言います。

株のプロに学ぶ「売り時」の見極め方、チャートが教えてくれる1つの視点

 損小利大。言葉にするとシンプルですが、実際の売買ではなかなか思い通りにいかないものです。

 損切りができないのは、自分の判断ミスを認めたくないという心理が働くから。早すぎる利確をしてしまうのは、せっかくの含み益が消える不安に耐えられないからでしょう。

 だからこそ、感情に流されず、チャートに従って売買するトレーニングを何度も繰り返すことが大切なのです。