「トランプ・ショック」の
大胆なリバランスで一躍脚光を浴びる

 この投資信託について、SBI証券投資情報部シニア・ファンドアナリストの川上雅人さんに見解を聞いてみた。
川上さんは次のように語る。

「目を引くのが、リバランス(資産配分の調整)の大胆さ。資産配分が極端なときもあり、例えば、2024年初旬には、米国株が上昇していたにもかかわらず、組入れ比率が0%という期間がありました。『これで本当に大丈夫なのか』と思ってしまいますが、その後、米国株は調整して、結果的にはその下落を回避していました。相場の方向性を上手くとらえて、割高なものは配分を減らし、割安な資産を多めに持つなど、トレンドに乗って好成績を残している印象です」

「2025年4月のトランプ・ショックも、あれほどの急落を前にしたら、普通の人間なら様々な考えが交錯して動きにくいものですが、ROBOPROファンドはすかさず、米国株や先進国株の比率をそれぞれ約9%ずつ上げていました。その後の米国や先進国の株価は軒並み上昇しています。人間は、トランプ大統領が何を言ったとか、どんな人柄だとかを考慮しがちです。一方のAIは感情がないので、そういう情報は関係ない。純粋にマーケットの動きだけをみて、冷静に判断できているのかなと思います」

 川上さんが注目した、2025年3~4月時のROBOPROファンドのリバランスの様子は以下のとおりだ。

トランプショック時のリバランス※構成比は四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある。先進国株式は米国株式を含まない。
(出所)SBI岡三アセットマネジメント資料を基に編集部作成
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 まず、2025年3月12日のリバランス実施後、米国株式は21.2%、先進国株式は0%となっていた。その後、3月下旬に「トランプ関税」が予告され、世界的に株式市場は不透明感が強まった。4月2日には関税の詳細な内容が発表され、米国株は軒並み下落。週明けの4月7日には米国の主要指数がさらに急落した。

 すると、4月10日、ROBOPROファンドは定期リバランスで先進国の組入れ比率を3月の0%から約24%に一気に増やし、株式は資産合計で約51%から約63%に。

 さらに、4日後の4月14日にも臨時リバランスが実施され、米国株式を約21%から約30%へ、先進国株式を約24%から約33%へ引き上げた。その結果、株式は資産合計で約76%に。約1カ月の間に、大胆なリバランスが行われ、米国株の大幅な下落局面で米国株式と先進国株式の比率を大きく増やしていた。

 この例と同様に、割高局面では資産を減らし、割安になったら組み入れを増やす、という動きが直近で見られたのが「金」だ。2025年、歴史的な上昇を続けていた金だったが、ROBOPROファンドでは、2025年7月以降、徐々に組み入れ比率を減らし、12月にはゼロになっていた。「これだけ上昇している資産を組入れなくていいのか?」という見方もあったが、2026年1月末から金価格が急落。すると2月4日に臨時リバランスを実施し、金を9.6%組み入れている。その後、定期で行われている2月(14日)のリバランスで、金は19.8%に引き上げられた。

 「心」を持たずに決めたルールに従い、“機械的に”売買すると、人間がやってしまいがちな「高値で買い、安値で売る」という失敗を回避できる、ということをROBOPROファンドから学ぶことができる。

「学習能力」が
従来のシステム運用との差になる?

 システムでトレードする投資信託はいままでもあったが、それらと比較して、ROBOPROファンドはどう違うのか。松井証券投資メディア部ファンドアナリストの海老澤界さんにも話を聞いた。

「AIでの運用を謳った株式型の投信はありますが、カテゴリが違うので運用システムの比較はできません。では、バランス型の中ではどうか、というと、個人投資家が目にするような一般的な投資信託で、ここまでAIの運用を前面に押し出したものはないと思います。バランス型の可変型で、『基準価額の変動リスクを年率4%に抑えて運用する』といった“モデルを決めてシステム的に運用している”投資信託はありますが、一気に成績が落ち込んだ後、元の水準まで回復できない低迷が続いています。運用モデルの作り込みが甘かったことが原因でしょう。その点、AIは学習して継続的に改善していくことが期待できる。ROBOPROファンドは、今のところ好調ですが、成績が思うように上がらなくなった後、どのようにモデルを改善し続けていけるかに注目しています」

個人投資家に人気の「オルカン」や
S&P500型と比較してみると?

 次に、ROBOPROファンドを全世界株型(オルカン)や、S&P500型の投資信託と比較してみよう。

 以下は、ROBOPROファンドの設定時からの基準価額の推移を、全世界株型(オルカン)や、S&P500型と比較したもの。参考に、8資産に均等投資し、配分を固定して運用するバランス型ファンドの「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」も加えた。

ROBOPROファンドの上昇率はオルカンやS&P500に迫る勢い
(出所)編集部作成
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 上図を見ると、ROBOPROファンドは、相場の下げ局面では全世界株型の「オルカン」、S&P500型より下げ幅が小さく済んでいる。一方で、上昇率は、「オルカン」、S&P500型に劣後はしているものの、追随している。最大下落率は、「オルカン」の6割程度、S&P500型の半分程度だ。

「ROBOPROファンドはバランス型ならではの下がりにくさを持ちながら、株式型に追いつきそうな上昇率になっています。そもそも、バランス型は値動きが緩やかで、『eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)』のような推移が一般的。バランス型ファンドに分類されながら、好調な株式型と比較できること自体、かなり異色だと思います」(海老澤さん)

 では、どんな人に向いている投資信託なのだろうか。

「まずは『オルカン』やS&P500ような株式型よりリスクを抑えて運用したい人。また、この投資信託は日本株は先進国株の中に20%程度組入れられているだけで、外貨比率が高い。そのため、日本株など円資産を多めに持っている人が組み合わせて持つと、バランスが良くなるでしょう」(川上さん)

 ただし、ROBOPROファンドは設定からまだ2年ほど。投資信託の良し悪しは長期の成績で判断するのが基本だから、5年、10年といった長い期間の成績を見ていく必要がある。「心がない」AIの投資判断が、今後、どのような成績に結び付いていくのか。どんな局面で、人間の判断力を超えて強みを発揮するのか。あるいは弱点はどこか。引き続きウオッチしていきたい。

 ちなみに、このようなAI運用を打ち出した投信は今後増えていきそうなのか?という問いに川上さんも海老澤さんも「増えていく可能性は高い」と口を揃える。今現在、『ダイヤモンド・ザイ』の投信企画では「インデックス型」「株式型」「バランス型」といった分類があるが、将来「AI型」が加わるかも?

本記事は2026年2月17日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。