「読書家なのに、仕事ができない人」に足りない“4つの視点”とは?
「本を読むのが速い人の秘密」がわかった!
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。
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「読書家なのに、仕事ができない人」に足りない視点とは?
本日は「効果的な本の読み方」についてお伝えします。
仕事ができる人は、読書を「読む」だけで終わらせません。同じ一冊から、何度も新しい学びを引き出していきます。そのポイントは、読書中に“視点”を切り替えること。私は本を読むときに、最低でも四つの視点があると思っています。これを意識するだけで、同じ文章の刺さり方が変わり、理解の深さも、記憶への残り方も変わってきます。
必要な視点① 著者視点
まず1つ目が「著者視点」です。これは、文章だけを追うのではなく、「この著者は、どんな過去を持っていて、なぜこの言い方を選んだのか」と背景ごと読み解く視点です。著者の経歴や思想、過去の著作に触れているほど、この視点は強くなります。たとえば同じ「努力」という言葉でも、苦労の多い人生を歩んだ人が書いた努力と、理屈で勝ち上がってきた人が書いた努力では、含まれている温度が違います。著者視点で読むと、文章の裏にある「この人は、これを言わずにいられなかった」という必然が見えてきます。これは著者にとっても、たぶん一番うれしい読み方です。
必要な視点② 書籍視点
2つ目が「書籍視点」です。これはいわば“読解”の視点で、文章そのものを正しく捉えることに集中します。この一文は何を主張しているのか、どこが根拠で、どこが結論なのか。比喩なのか、断定なのか。主語は誰か。つまり「この本は、何を言っているのか」を、なるべくぶれずに押さえる読み方です。ここが弱いと、どれだけ熱心に読んでも、結局は自分の都合のいい解釈だけを拾ってしまいます。逆に、書籍視点がしっかりしている人は、賛成でも反対でも「相手の主張を正確に受け取った上で」判断できます。頭のいい人が議論で強いのは、ここが丁寧だからです。
必要な視点③ 読者視点
3つ目が「読者視点」です。これは、自分の過去の経験や、いま抱えている課題に引きつけて読む視点です。同じ文章でも、人によって刺さる場所が違うのは当たり前です。なぜなら、私たちは“自分の人生”というフィルターを通して文章を受け取るからです。たとえば「いじめは悪い」という主張ひとつ取っても、「いじめられた側の痛み」を持つ人と、「いじめるつもりはなかったのにそう受け取られた側の痛み」を持つ人では、反応が変わります。文章の解釈は、予習の有無よりも、この読者視点、つまり過去の経験や価値観に強く左右されます。私は読書において、この読者視点をとても大事にしています。本は“正解を当てるテスト”ではなく、自分の考え方を育てる道具だからです。
必要な視点④ 他者視点
そして4つ目が「他者視点」です。これが、頭のいい人が密かに使っている強力な視点で、予習や復習にもつながります。他の人はこの本をどう読んだのか、どんな事例を思い浮かべたのか。どこに違和感を持ち、どこに共感したのか。これを知ると、自分の想像力の外側にある読みが手に入ります。文章は同じでも、解釈は複数あります。そのことを体感できるだけで、本の世界は一気に広がります。
たとえば「成功は人の表面を飾り、失敗は内面を豊かにする」という言葉を、私は「成功すると自信が表情に出て周囲の目が変わる」という意味で捉えました。一方で、別の人は「成功すると周囲が期待というベールをまとわせ、他者が表面を飾ってくれる」と捉えていました。失敗の解釈は近いのに、成功の捉え方が主観と客観で違う。このズレを知った瞬間、その言葉は“自分の解釈”から“立体的な言葉”に変わります。これが他者視点の力です。
読書を一度で終わらせるのはもったいないです。著者視点で背景を読み、書籍視点で主張を押さえ、読者視点で自分の人生に引きつけ、他者視点で世界を広げる。この四つの視点を行き来できるようになると、一冊の本を通して、さまざまな学びを得ることができます。
(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・取材加筆したものです)







