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「思いついたことはノートにすぐメモをしたり、録音したりしている」ーーベストセラー『嫌われる勇気』の著者が、自分の考えを「書き留めること」で言語化する効用について語る。※本稿は、哲学者の岸見一郎『自省のすすめ ひとりで考えるレッスン』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
自分の思いを書くことで
負の感情を鎮められる
日常の中で、他者とぶつかって感情的になることがあっても、それを言葉にすれば冷静になり、自分の行動や気持ちを客観的に見ることができる。マルクス・アウレリウスが自分自身に「お前」と呼びかけ、そうすることで意図的に自分との距離を置いたようにである。
考えたことを書き留めるのは、自分の考えを客観視するためだけではない。心が乱れるようなことがあった時に書くのは、冷静になって自分の言動や思いを分析するためだけでない。正直に自分の思いを書き連ねることにも、書くことの意味を求めることができる。
ある日、哲学者の森有正は、カフェで上衣の内ポケットから赤表紙のノート・ブックを取り出して書き始めた。
「ノートをつけていると何となく気がしずまるので、やり切れない時はいつもそうすることにしている」(『砂漠に向かって』)
「そういうノートはあとになってみると何の意味もないことしか書いていないのが常である」(前掲書)
と森は書いているが、書かなければ冷静になることができない時もある。アウレリウスがノートに向かった時も、やりきれない気持ちだったであろう。







