「雑に生きる」っていいですよね。だから、中高生に最近は言ってるんです。あまり先生や親が言わないから、俺が代わりに言ってあげますと。「君たち、雑に生きなさい」って(笑)。「雑はいいぞ」って。なんで厳密さとか、首尾一貫性とかそんなに大事にするんだという。雑でいいじゃないか。

考えすぎてしまうと
行動に移せなくなる

養老:雑でいられなくなったのは、人を説得することが多くなったからじゃないですか。説得するのは穴があるとダメだから、穴を開けないように一生懸命になっている。試験の答案もそうですよね。

内田:試験の答案を雑に書くと、確かに点数は悪くなりますからね。でも、僕は奥さんと結婚してずいぶん長くなるんですけれど、平川君の場合と同じで、彼女がどんな人かをよく知らないんです。もう30年くらい付き合ってるんですけれども、いまだに何を考えているのかよくわからない。向こうも僕のことはよくわかっていないので、お互いさまですけれど。

養老:そういうことは、僕は子どもの時からある意味で了解していましたね。虫の好きな仲間ってほとんどいないから。そんな中で、自分はこんなに虫が好きだって、どういうことだっていうことですよ。変な奴でしょ。そこに1匹いたら動かないでずっと見ているんだから。

内田:結婚もそうですよね。昔の人は結構雑に結婚したじゃないですか。うちの伯母は祝言の日まで旦那になる人とろくに話したことがなかったそうですけれど、死ぬまで仲のいい夫婦でした。お互いに相手に対してあまり期待していない方が結婚生活は穏やかでいいんじゃないですか。最初の期待度が低いと、何かの弾みで「あれ、この人結構いい人じゃない」と見直す。その方がストレスがなくていいと思いますけど。

 でも、今は、結婚の条件がだんだん吊り上がってきて、高いハードルを越えられた相手としか結婚しないでしょう。でも、それだと結婚した後、配偶者を減点法で見るようになるでしょう。「話が違う」ということで減点していくと、一緒に暮らすにつれて欠点ばかりが目につくようになる。