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高評価のレストランでも「味がよくわからない」と不安になることはないだろうか?実は舌の鋭さより食の経験の積み重ねが大切だと、編集者・大木淳夫氏は語る。場数を踏んだからこその“食の楽しみ方”のヒントを紹介する。※本稿は、「東京の最高のレストラン」編集長の大木淳夫『50歳からの美食入門』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
グルメ番組の審査員が
「鋭い味覚」より重視すること
自分は味がよくわからない、というコンプレックスをお持ちの方もいるでしょう。
その気持ち、とても共感します。フランス料理を食べ始めた頃は、とにかくコースを最後まで食べきることに必死で、正直言うと味なんて二の次でした。パンを食べすぎて途中でお腹がいっぱいになってしまったり。
そんな私が今ではBSフジの『リモートシェフ』で、審査員をやらせていただいています。ふたりの一流シェフが、30分という持ち時間の中、ゲストタレントにリモートで作り方を伝授して対決する番組です。録画ですが、撮り直しはないし、現場はまるで生放送のような緊迫感。完成した料理をすぐに試食して、名だたるシェフやタレントさんの前で感想を言い、採点しなければならないわけですから、こちらも必死です。
味わいながら、頭の中を駆け巡っているのは舌の記憶。今まで食べてきた料理の味や素材、皿の上の構成内容、色彩、シーンを頭の中から引っ張り出して比較し、どこが違うのか、優れているのか、違和感があるのか、そんなことを考えて、自分なりの答えを導き出し、コメントしています。
鋭敏な舌を持っているというより、場数を踏んでいるからというのが正直なところです。







