寿司職人と男性客写真はイメージです Photo:PIXTA

飲食店にとって常連とはどんな存在なのか。コロナ禍にも通い続けて店を支えた常連がいる一方で、ありがた迷惑な常連がいるのも事実。客と店が良い関係を築くための“大人のたしなみ”を編集者・大木淳夫氏に学ぶ。※本稿は、「東京の最高のレストラン」編集長の大木淳夫『50歳からの美食入門』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

常連の店があれば幸せになれる
人生の止まり木を見つけよう

 常連になりたい、というのは客目線の言葉ですが、実はお店側も常連を欲しているのです。海外からも多くの人が来店を希望する星付き有名店では、どれだけインバウンド客のリクエストがあっても、一定以上の予約を受け付けないそうです。もちろんキャンセルのリスクを減らしたいということはあるのですが、支配人はこう語りました。

「コロナの時に助けてくれたのは常連さんですから」。

 そう、あの思い出したくもないコロナ禍で、レストランは絶望するほどの損害を受けました。休業要請、アルコール禁止、時間制限……。テイクアウトを作ったり、通販に活路を見出そうとしたり、皆必死でした。そんな時に、それでも通ったり、品物を買って支えようとしたのは、そのお店を愛してきた常連です。あの時は多くの人が自分の愛するレストランを、働く人を助けたいと純粋に感じていました。そしてお店側も、改めて常連の大切さを知ったのだと思います。

 常連のお店があるということは、人生の幸せな止まり木を持つということです。

 私は職業柄もあって、よく料理小説を読みますが、生き方に悩んだ主人公がお店と出合って成長していくという話は王道です。