愚痴大会よりも感想戦を楽しもう
料理は最高の状態で味わいたい

 自分にとって気持ちのいい時間と環境を作ることを最優先しましょう。愚痴大会や批評会をやめるだけで、見える世界が劇的に変わります。

 推しのライブの後にファン同士で語り合うことを「感想戦」というらしいですね。ふと思うと、私も友人たちとよくレストランで、食の感想戦をしています。食べ物の話をしていると、笑いが絶えませんし、その方がよほどストレス発散になる気がします。

書影『50歳からの美食入門』(大木淳夫、中央公論新社)『50歳からの美食入門』(大木淳夫、中央公論新社)

 もちろん『孤独のグルメ』のように、ひとりで楽しむのもありです。ただ、あのドラマではひとりといいながら、きちんとお店の人とコミュニケーションを取っていますよね。そこは大事だと思います。

 最低限、忘れてはならないのがお店への当たり前の敬意です。井之頭五郎さんのように、出されたものをすぐ食べる、は必須です。なぜならその方がおいしいからです。料理人はお皿が客に出された時に、最高の状態になることを前提に料理を作っています。

 ある時、ビジネス相手から、ぜひ紹介したいおいしいお店があると連れて行ってもらったことがありました。ところが彼は出された料理そっちのけで、仕事の話ばかりしていて悲しくなりました。いやいや、まず食べようよと。

 誤解のないようにお伝えしますが、すぐとはいえ、早食いじゃなくて大丈夫です。私は昔、鮨はとにかく出されたら早く食べなきゃと思って、すごいスピードで食べていたら、ベテランの親方に驚いた顔で「お客さん、そんなに急がなくても」と言われ、恥ずかしい思いをしたことがあります。ゆっくり咀嚼(そしゃく)して味わってください。

 おいしさの基準は人それぞれですから、それより食に向き合う姿勢を大事にしたいですね。