
今度はお金が…
場面変わって、喫茶店。
司之介(岡部たかし)が荒金(夙川アトム)とお茶をしている。
お金はどうなったのだろうか。その話題は出ず、ヘブンが書く題材を探しているという話に。
それを聞いた荒金は、「ならこぎゃん話はどぎゃんかね?」と語りだした。
「ある男が人から頼まれ事をした。
それは厄介で、男は断りたかった。
ばってん。どうしてもと泣きつかれ、渋々引きうけた」
「頼んだやつは強引じゃの」←司之介のリアクション。これって司之介のことだろうと想像がつく。
「そして男が思っていたとおり、その頼まれ事は失敗に終わる。男は雲隠れすることに決めた」
「いや、わかるのその心は」←雲隠れしたい気持ちに共感するらしい。ウサギ相場のときを思い出す。
「『俺はしばらく雲隠れする。達者でな』。
すると男が言った『大丈夫。父上のように正直に生きていくけん』。
男は目を覚ました。『俺はなんて馬鹿なことを』。
そして逃げるのをやめ、頼まれ事の顛末(てんまつ)を全て正直に話すことにした」
荒金はそっと包みをテーブルに置く。
ここまで来て、司之介はお金が増えていると思っているようだ。
箱を開けると、中身は……。
「いまん話はわしとあんたのことたい」「申しわけなか!」と荒金は頭を下げる。
ああ、やっぱり。
「よかったらあんたんとこの異人にこの話はしてやってくれ」
「話せるか!」
これは実に悲劇的な展開。ところが劇伴はかなり呑気(のんき)。そのわけは……。
司之介は、前に預けて増やした金だけを投資していて、元のお金は損をしていなかった。不幸中の幸い。司之介もそこまでおかしな人ではなかった。
以前、橋爪國臣CP(チーフプロデューサー)が、なみ(さとうほなみ)について「登場人物を絶望させる責任はとれない」と語っていたが、これもそういうことだろう。この物語ではリアルにとことんおとしめることはしないようだ。
とはいえ、蓄えはあるに越したことがない、とフミ(池脇千鶴)は怒っている。
ヘブンだけは「パパさん 家族 ため 増やそうしてくれた ありがとう」と怒らない。まったく人が良すぎる。
だが、気を良くした司之介が、この話を題材にしてはどうかと聞くと、「いらない パパさん 調子乗るない」と仏の顔も三度までということわざより厳しく二度までであった。







