投資で大損→それでも絶望しないワケに納得!『ばけばけ』が描く異色の朝ドラ像〈ばけばけ第103回〉

今度はお金が…

 場面変わって、喫茶店。

 司之介(岡部たかし)が荒金(夙川アトム)とお茶をしている。

 お金はどうなったのだろうか。その話題は出ず、ヘブンが書く題材を探しているという話に。

 それを聞いた荒金は、「ならこぎゃん話はどぎゃんかね?」と語りだした。

「ある男が人から頼まれ事をした。
それは厄介で、男は断りたかった。
ばってん。どうしてもと泣きつかれ、渋々引きうけた」

「頼んだやつは強引じゃの」←司之介のリアクション。これって司之介のことだろうと想像がつく。

「そして男が思っていたとおり、その頼まれ事は失敗に終わる。男は雲隠れすることに決めた」

「いや、わかるのその心は」←雲隠れしたい気持ちに共感するらしい。ウサギ相場のときを思い出す。

「『俺はしばらく雲隠れする。達者でな』。
すると男が言った『大丈夫。父上のように正直に生きていくけん』。
男は目を覚ました。『俺はなんて馬鹿なことを』。
そして逃げるのをやめ、頼まれ事の顛末(てんまつ)を全て正直に話すことにした」

 荒金はそっと包みをテーブルに置く。

 ここまで来て、司之介はお金が増えていると思っているようだ。

 箱を開けると、中身は……。

「いまん話はわしとあんたのことたい」「申しわけなか!」と荒金は頭を下げる。

 ああ、やっぱり。

「よかったらあんたんとこの異人にこの話はしてやってくれ」
「話せるか!」

 これは実に悲劇的な展開。ところが劇伴はかなり呑気(のんき)。そのわけは……。

 司之介は、前に預けて増やした金だけを投資していて、元のお金は損をしていなかった。不幸中の幸い。司之介もそこまでおかしな人ではなかった。

 以前、橋爪國臣CP(チーフプロデューサー)が、なみ(さとうほなみ)について「登場人物を絶望させる責任はとれない」と語っていたが、これもそういうことだろう。この物語ではリアルにとことんおとしめることはしないようだ。

 とはいえ、蓄えはあるに越したことがない、とフミ(池脇千鶴)は怒っている。

 ヘブンだけは「パパさん 家族 ため 増やそうしてくれた ありがとう」と怒らない。まったく人が良すぎる。

 だが、気を良くした司之介が、この話を題材にしてはどうかと聞くと、「いらない パパさん 調子乗るない」と仏の顔も三度までということわざより厳しく二度までであった。