気象予報士が屋上で
花粉を1個ずつ数えるワケ
私は数年前まで、ある特殊な業務を行っていた。放送局の屋上に設置された観測機へ向かい、ワセリンを塗ったガラス板(プレパラート)を回収する。
そして顕微鏡をのぞき込み、1センチ四方の枠の中にスギやヒノキの花粉が何個付着しているか、ひとつずつカウントする。地道すぎて気が遠くなる作業だが、これがテレビで流れる「花粉飛散情報」となるのだ。
このように現場で花粉を数えてきた身としても言えるのは、やはり「400℃の法則」は侮れないということ。毎日の気温を積み上げ、「そろそろ累積400℃だな」と思った矢先、プレパラートに付着する花粉が、ポツポツと増え始める。
桜(ソメイヨシノ)の「600℃の法則」は
近年あてにならなくなりつつあるのに…
不思議なのはここからだ。この400℃の法則には、厳密な科学的根拠があるわけではない。しかも近年は温暖化が進み、冬の気温も季節の進み方も、昔とは様変わりしている。常識的に考えれば、法則はズレて使い物にならなくなるはずだ。
実際、同じような経験則である桜(ソメイヨシノ)の「600℃の法則」(2月1日からの最高気温の積算が600℃で開花)は、近年あてにならなくなりつつある。暖冬の影響で、桜が冬の眠りから覚める「休眠打破」がうまくいかず、法則よりも開花が遅れたり、バラついたりする現象が起きているのだ。
写真はイメージです Photo:PIXTA
しかし、花粉に関しては今も「当たる」と言われることが多い。なぜか。ここからはあくまで私の個人手的な推測だが、温暖化が生んだ「偶然の一致」が関係しているのではないかと考えている。







