今の教育は、情報を与えることには長けていても、「情報を取り出す訓練」が圧倒的に足りていません。「クローゼットに服を詰めるだけ」のような学び方では、本番で必要な情報が出てこないのです。

 だからこそ、現代の勉強では「覚える」こと以上に「思い出す」ことに時間をかけるべきだと言えるのです。

 アクティブリコールは、単なる記憶術ではなく、「考える力を育てる学び方」でもあります。ものごとを何も見ずに説明するには、自分の理解を言葉で整理する必要があります。つまり、それは思考力や表現力のトレーニングにもなっているのです。

 これからの教育において求められるのは、“情報のインプット量”ではなく、“情報のうまい取り出し方”です。そのためには、日々の学習にアクティブリコールを取り入れ、知識をただ詰め込むのではなく、自在に引き出せる力を育てていくことが重要になってきます。

移動時間や隙間時間を
思い出す時間に変えてみる

 かつては電車に乗っている移動時間や待ち時間に「ぼんやりと今日の出来事を振り返る」時間がありました。しかし今や、移動時間ですらスマホで仕事の連絡を返し、ニュースをチェックし、スケジュールを整理できてしまいます。「何もしない時間」や「思考を空にする時間」が完全に失われつつあるのが大人の現実でしょう。

「考える」「思い出す」という行為のためには、情報の再生に集中できる“余白”が必要なのに、スマホによって常時情報に接続され、その余白がどんどん狭くなっているのです。

 だからこそ、大人も「考え、思い出すための空白の時間」を意識的に確保する必要があるのではないでしょうか。

 通勤中の5分、昼休みの3分、あるいは夜寝る前の静かなひととき。スマホを見ずに、ふと「今日、何を学んだ?」「さっきの資料、何がポイントだった?」と頭の中でつぶやいてみる。これも立派なアクティブリコールです。

 ちょっとした時間でもいい。行き帰りの間でもいいから、しっかりとアクティブリコールの時間を取ってみる。これだけで、もしかしたら頭の活性化ができるかもしれません。