考えることは何でもいいのです。「さっきのあの人の発言、こうだったな」「そういえば、〇〇さんがこの前言ってたあの話って……」と、ぼんやりと考えたことを、スマホで調べず、自分の頭で深掘りして考えてみるのです。そういう「ぼんやり考える」という習慣こそが、実はかなり重要なのです。
覚えていないのではなく
思い出す手がかりがないだけ
1つの例を考えてみます。あなたのアルバイト先で、新しく入ってきた新人が「佐藤です」と名乗りました。しっかり聞いて名前を覚えたつもりでも、次に会ったときに「えっと、何さんだったっけ……?」と言葉に詰まってしまうことはないでしょうか?
これは、「覚える」と「思い出す」が異なる脳の活動であるために起きる現象です。私たちは名前を聞いた瞬間に一度は記憶しているのですが、それを後から“引き出す”ことが必ずしもできないのです。
しかし、思い出すことができなければ覚えても意味がありません。
われわれは自己紹介をされたときに「ああ、佐藤さんっていうんですね。よろしくお願いします」というやりとりをします。これは、情報を頭の中に入れる「覚える」作業です。
『なぜ勉強すればするほど頭が悪くなるのか?』(西岡壱誠、星海社新書)
そして1週間後や1カ月後に再会したとき、「あ、ええっと、佐藤さんですよね!」と名前が出てきます。これは、頭のどこかにしまっている情報を引き出す「思い出す」作業です。この後者の力を鍛えることが学力の向上につながるのです。
よく「人の名前を覚えるのが苦手」と言う人がいますが、実はそういう人でも、相手の名前などの思い出す手がかりをもらったら、「ああ、そういう人がいたな」と、案外、初対面のときの出来事を覚えているものです。まったく何も記憶になく、「佐藤さん?そんな名前の人、会ったことありましたっけ?」というリアクションを取る人は滅多にいません。
これは何を意味しているのか?
「記憶が苦手だ」「暗記が苦手だ」と思っている人でも、意外と「覚える」ことは得意なのです。苦手なのは「思い出す」ことであって、「思い出す」練習さえ上手くできれば、誰でも記憶や暗記に関する悩みを解消できるということです。







