検査線に車両が入っている時間は、おおよそ30分、長くても40分ほどだ。

 車両の運用は、列車のダイヤや検査のスケジュールなどを踏まえて綿密に計画されているものだ。もちろんその中には、汚物の抜き取りや清水タンクへの給水も計算されている。汚物がタンクに満タンになってしまってトイレが使えなくなったり、また清水タンクが空っぽになって水が流せなくなったり手が洗えなくなったりしてはマズイ。そのため、タンクが満タンになるまでには必ず汚物抜き取りの設備がある車両基地に入る運用計画になっているという。

 そうした中で検査線に入ってくる車両の出庫時間は、全体のダイヤにもかかわってくるので、作業の遅延はわずかでも許されない。おおよそ30分という限られた時間の中で、車内の清掃から汚物の抜き取りまですべての作業を終わらせる。“神ワザ”は何も折り返しを急ぐ駅に限った話ではないということだ。

汚物抜き取りは1編成2人で
おおよそ30分という限られた時間

 今回、汚物抜き取りの様子を取材させてもらったのは、北陸新幹線のE7系だ。車両形式によって、またその編成によっても微妙に異なるが、E7系のトイレは1・3・5・7・9・11・12号車に設けられている(1~9号車までは隣の偶数号車との間のデッキ、グリーン車とグランクラスの11・12号車も両者の間のデッキにある)。

 基本的にそれぞれ小便器・男女共用洋式トイレ・女性用洋式トイレがひとつずつと洗面所がふたつでワンセット。ただし、7号車には女性用洋式トイレの代わりに多機能トイレが入り、洗面所はひとつだけ。また、11・12号車には多機能トイレと小便器、女性用洋式トイレがひとつずつと洗面所がふたつという組み合わせになっている。そして、それぞれの床下に汚物タンクと清水タンクがある、というあんばいだ。

 TESSEIの担当者は、「実は車両によって編成の長さやトイレの位置が微妙に異なってくる」と打ち明ける。JR東日本の新幹線車両は、東北・上越・北陸新幹線に加えて新在直通の山形・秋田新幹線を含めれば6形式。それらが行きつ戻りつやってくる。次にどの車両が入ってくるかは事前の計画でわかっているので、それに応じてスタッフは準備を整えているのだ。