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会社から突然告げられる「人事異動」は断れるものでしょうか?「会社の成長のために、ぜひ君の経験を次の部署でも生かしてほしい」「突然退職者が出てしまい、このままだと回らない。来月から隣の施設へ行ってほしい」「職場恋愛?トラブルになる前に異動してもらおう」――3つの事例から人事異動を拒否できるか、法的ルールを解説します。(特定社会保険労務士、大槻経営労務管理事務所 土井裕介)
人事異動は「絶対」の命令なのか?
配置転換の理由は多様化
人事異動とは辞令1枚で、働く場所も、仕事内容も、人間関係も一変するものです。会社は「業務上の必要性」があるから出す一方で、従業員には「人生の大きな転機」になることも往々にしてあるでしょう。
解雇規制が厳しい日本において、異動命令は原則、会社の人事権の範囲内とされています。しかし、本当に「会社が言えばすべて有効」なのでしょうか?
近年は、人手不足、リスキリング推進、ハラスメント対策強化などを背景に、配置転換の理由はますます多様化しています。一方で、「それはやりすぎだ」と争いになるケースも少なくありません。
実際に筆者の基には、「来週、従業員と異動について面談をします。リスクや押さえておくべき点を教えてください」といった相談が寄せられます。特に、ちょっとワケありな異動については、人事担当者も慎重です。
今回は、3つのケースを通じて、人事異動の境界線を考えてみましょう(登場人物名は仮名)。
建設工具メーカー40代男性
技術職から営業へ内示、断れる?
海野さん(40代・男性)は、建設工具メーカーで10年以上、修理・メンテナンスを担う技術職として従事。「工具のことなら海野に聞け」と評される存在でした。
しかし、会社の評価は一様ではありませんでした。「技術は見て覚えるもの」という信念がある海野さんは、後輩への指導は最小限に抑えていました。結果として、海野さんの下のメンバーは育たず属人化が進んでいたのです。
ある日、海野さんは上司に突然こう告げられます。
「新商品の販売拡大に、あなたの知識が必要だ。営業部で力を発揮してほしい」
「営業?私は10年以上、技術職一筋でやってきました。今さら営業はできません」
海野さんが異動を拒否することは可能でしょうか?







