ウーバージャパン山中代表が明かすタクシー配車事業が赤字でも「3000億円超」を投資する超強気の理由と、楽天とタッグを組んだ訳Photo by Yoshihisa Wada

タクシー配車事業を手掛けるUber Japan(ウーバー・ジャパン)は、2025年12月に対応エリアを全国へと拡大し、楽天グループとの協業開始を発表した。事業が急拡大を遂げている一方で、モビリティ事業は依然として赤字が続いている。それでもウーバーは、モビリティ事業とフードデリバリー事業で合わせて20億ドル(約3100億円)を今後5年間で日本に投資する方針を示した。巨額投資に踏み切る狙いは何か。モビリティ事業トップの山中志郎代表に、その真意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

ウーバー代表が語る、モビリティ事業の赤字のわけ
それでも20億ドルを投資する超強気な理由とは?

――タクシーの配車サービス「Uber Taxi(ウーバータクシー)」の対応エリアは、2025年の1年間で18都道府県から47都道府県へと急拡大しました。この理由を教えてください。

 対応エリアを全国に広げるのは難しいため、実は、25年の初頭時点では27年ごろまでに達成できればと考えていました。しかし、昨年ぐらいからアプリ配車の普及が加速しており、特に今までカバーできていなかった都道府県での広がりが予想以上に速く、目標を約2年前倒しして47都道府県での展開を達成することができました。

 ウーバータクシーの売上高は、3年連続で年率換算約2倍のペースで成長しており、高成長を維持しながらエリアを拡大しています。その背景には、タクシー会社とのパートナーシップの拡大があります。われわれは自社でタクシーを保有していませんので、成長にはタクシー会社との協業が欠かせません。「日本で一緒にやっていこう」と賛同してくれるタクシー会社が増えてきたことが、大きな要因の一つです。

 とはいえ、世界で2番目に大きなタクシーマーケットである日本において、アプリ配車の割合は、まだ十数パーセントにとどまるといわれています。東京は比較的割合が高いものの、諸外国に比べるとまだまだ低い。例えば、台湾や香港では3~4割、韓国では6割が見えてきています。そうした国々と比べると、日本のマーケットは伸び代が大きいため、47都道府県での展開は達成できましたが、あくまでスタートラインに立ったにすぎません。これからさらに利用率を伸ばしていく必要があります。

――その施策の一つが、25年12月に発表した楽天グループとの協業だと思います。楽天をパートナーに選んだ背景を教えてください。

「移動したいときにアプリでタクシーを確保できる」「必要な時ときにUber Eats(ウーバーイーツ)で食べ物が頼める」などの点で、われわれのサービスはタイパ(タイムパフォーマンス)が非常に高いと思います。加えて、今回の協業により、200円の利用ごとに1ポイント分の楽天ポイントがたまるようになりました。こうした取り組みを通じて、今度はコスパ(コストパフォーマンス)の面でも価値を提供できるようになります。

 楽天さんは日本最大級のポイント経済圏を保有されていますので、タッグを組むことでわれわれのブランドに対する信頼感も向上するでしょう。それが新規顧客の獲得や、既存顧客の利用促進につながると考えています。

 加えて、楽天さんのサービスとウーバーのテクノロジーを掛け合わせて、新しいビジネスモデルを構築できないか、初期段階から話し合っています。例えば、楽天さんでの購買履歴やウーバーでの移動履歴、これらのデータについて個人を特定しない形で活用することで、データに基づいたユーザーに刺さるプロモーションを展開できるようになっていくでしょう。

――モビリティ事業の売上高は高成長してきているとのことですが、まだ赤字であると聞きます。一方、ライバルである「GO」や「S.RIDE(エスライド)」は黒字化を達成しています。赤字の要因について教えてください。

ライバルであるGOやエスライドは黒字化を達成する中でも、ウーバーのモビリティ事業は赤字状態が続いている。しかし、山中代表は「投資フェーズはまだ続く」と語り、20億ドル(約3100億円)もの巨額投資を今後5年間で行うという。次ページでは、その真意を深掘りするとともに、拡大の兆しを見せるライドシェアへの期待感についても話を聞いた。