先読み!企業業績 株式相場の歩き方#3Photo:Smith Collection/Gado/gettyimages

米中が先行している「自動運転」だが、今後数年間のうちに日本でも普及していく可能性が出てきた。自動運転は過去にも何度も株式市場で話題になっては消えたテーマだが、潜在市場は巨大で関係する銘柄も多い。連載『株式相場の歩き方』の本稿では、自動運転が「今回こそ」盛り上がりそうな2つの理由を分析しつつ、技術面で注目すべき7社を取り上げる。(経済ジャーナリスト 和島英樹)

長続きしない相場テーマだった
自動運転が「今回は違う」理由とは

 今度こそ自動運転元年となるのか――。

 国土交通省は特定の条件の下で運転手が不要な「レベル4」の自動運転ができるバスやタクシー、トラックを2030年度に1万台に増やす目標を示す方針だ。政府が年内にも閣議決定する交通政策基本計画に盛り込む。

 もっとも、株式市場にとって自動運転自体は新しいテーマではない。

 運転手不足が深刻な社会問題として広く認識される中、23年の改正道路交通法の施行により、特定条件下での自動運転レベル4での公道走行は可能になっている。実際、各地で実証実験は行われている。にもかかわらず、自動運転移動サービスについては「25年度に約50カ所、27年度までに100カ所以上の地域での実現」という政府目標からは遅れ気味となっていた。

 では、今回の交通政策基本計画は今までと何が違うのか。

 一つ目のポイントは「台数の目標設定」だろう。自動運転についてさまざまな取り組みがあったが、実際に台数目標が掲げられた場合、初めてのことになるからだ。

 対象は商用車であるバス、タクシー、幹線輸送の大型トラックだ。報道によると新目標では27年度の導入は1000台以下にとどまるものの、27年度から30年度にかけて10倍超に増える。数値が具体化したことは、実現に向け自動運転車の普及を後押しすることになる。

株式市場のテーマには、半導体やAI、インバウンドのように「業績の裏付けがある骨太テーマ」と、ニュース発表時には話題になるが「業績貢献がなく長続きしないテーマ」の2種類がある。この15年、自動運転は後者だった。期待先行で業績に貢献しなかったからである。だが、今回は米中で自動運転タクシーが実現していることを含め、「いよいよ」の可能性が高まっている。次ページでは政府による台数目標に加えて「自動運転を加速させる技術」や各社の取り組み、さらには自動車メーカー以外も含めた自動運転関連の注目企業7社を紹介していく。