歩きスマホの男性が部下と衝突→部下は怒って追いかけた…上司の振る舞いとして「賢い選択」は?写真はイメージです Photo:PIXTA

大人の日々は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめるトクな道を探りましょう。
※「お悩み」は編集部で作成した架空のモデルケースです。

今回の「お悩み」

 女性の部下と取引先を訪問した。帰る途中の駅の構内で、歩きスマホをしていた中年男性が物陰から飛び出してきて、部下と衝突。明らかに相手の不注意だが、謝るどころか舌打ちをして部下をにらみつけ、そのまま行ってしまった。

「腹立つなあ。許せない!」と部下は激怒。「謝らせてやります」と言って、離れていく男性を追いかけようとしている。一緒にいる上司として、「まあまあ」となだめるか、好きなようにさせるか。振る舞いとして、どちらが良いのだろうか。

選択のポイント

 部下の腹立ちは、よくわかります。自分が同じ目に遭ったら、きっと同じ気持ちになるでしょう。

 ただ、同じ行動を取ろうとするかは人それぞれ。怒りの感情に突き動かされて、その男性を追いかけ「おい、謝れ!」と詰め寄るのは、想像している分には痛快ですが、厄介なトラブルにつながるなど、実際にはさまざまなリスクがあります。

 このケースの場合、男性は相手が(自分より弱そうに見える)女性だから、なめた態度に出たのでしょう。そういう「ちっちゃいヤツ」だけに、部下が追いかけて「謝ってください!」と詰め寄ったところで、素直に謝るとは思えません。

 そう考えると「まあまあ、あんなヤツ相手にするな」と言って、男性を追いかけようとしている部下をなだめるのが、上司としても同行者としても「賢い選択」と言えるでしょう。ただ、気持ちが収まらない部下が、怒りの矛先をこっちに向けてくる可能性はあります。

 一方で、面倒なことになりそうだったら自分が助けようと腹を決めて、部下の気が済むようにさせる選択肢もあります。決してこっちを勧めるわけではありませんが、たまには損得勘定を忘れてみるのも人生の醍醐味……かもしれません。

 その場合は、自分も付いていって「ちょっとあなた」といっしょに声をかけたほうが、めったに経験できないスリルがより深く味わえます。しかも、部下の信頼も得られるし、長く話のネタにもなるでしょう。ま、気力と時間に余裕があればの話ですけど。

石原壮一郎・コラムニストのプロフィール