もっとも人の好みというのは年齢に応じて移り変わっていきますので一概には言えませんが、テレビ番組の選び方が昔と変わってきたなと感じたら、認知症グレーゾーンを疑う1つのきっかけかもしれません。

怒りっぽくなったら
「認知症グレーゾーン」を疑う

 高齢になるとキレやすくなる人がいます。時折、スーパーのレジに並んでいる男性が人目もはばからず「早くしろよ!」などと怒鳴っているのを見かけます。そうしたキレる人に遭遇すると、私自身そのお気持ちはよくわかるのですが、「あの人は認知症グレーゾーンかな」と推察します。

 認知症の症状は2大別されます。もちろん「記憶障害」を中心としますが、日時や自分のいる場所がわからなくなる「見当識障害」、いわゆる段取りが下手になる「実行機能障害」といったものは認知機能の障害という意味で「中核症状」と呼ばれます。

 また、かつては問題行動といわれた周囲への迷惑行動やうつ、不穏などのメンタル不調を総合したものをBPSDといいますが、これらはこれまで「中核症状」に対して「周辺症状」と呼ばれてきました。「周辺症状」といってもご家族にとって、これらへの対応は「中核症状」への対応以上に大変なものです。

「周辺症状」は千差万別ですが、認知症グレーゾーンの人に多いのは、認知機能が下がったことによる不安や焦り、苛立ちが募ることです。もの忘れが頻繁になれば不安になります。どうしようという焦りも生じます。また、ここに置いておいたはずの物がない、人との約束を忘れて迷惑をかけたといったことが重なるかもしれません。

 さらに、できないことが増えたかもしれません。こんな現実を受け入れたくない、不甲斐ないと感じれば、自分自身にイライラし、慢性的に不機嫌になってしまうのも当然でしょう。

 こう自覚しているところに、周りから言及されたり、自分のやり方やリズムを注意・否定されたりすると、我慢できずに怒り炸裂になってしまうのも無理はないのです。