しかし、認知機能が落ちていることを自覚できるからこそ情緒不安定になるわけで、完全に認知症になってしまえば、認知機能が落ちているという自覚も消えてしまいます。つまり情緒不安定に陥っているうちは認知症ではなく、まだ認知症グレーゾーンである可能性が高いと思われます。
認知症グレーゾーンは
薬物療法で改善可能
次に感情のコントロールについて説明しましょう。これには扁桃体という脳の働きが大きく関わっており、主に恐怖や不安といった感情表現に影響を及ぼします。また扁桃体は前頭葉の一部である前頭前野をコントロールしています。年齢を重ねるとともに前頭葉の働きは低下しますので、感情をコントロールしづらくなるのです。
キレやすくなるのもその一環。たとえば高齢になると、「たかがそんなことで怒り心頭!」というように、以前はしっかりとしていた理性という名の心の筋肉が緩み、感情を抑えることができなくなることも起こりがちです。感情の中でも瞬間的にマックスに達する怒りは、認知機能にまったく問題のない人においても抑えることが難しい感情だといえるでしょう。
あなたは急に落ち込んだりすることはありませんか。
感情のコントロールに関する問題としては、キレやすくなることばかりではなく、落ち込みやすくなるケースもあるのです。たとえば職場でちょっと間違いを指摘されただけで仕事ができないというレッテルを貼られたと感じたり、他人の発した一言に傷ついて悶々としてしまったりするなど、さまざまなパターンがあります。
『認知症グレーゾーンは分かれ道』(朝田 隆、興陽館)
いずれにしても、本来の自分はこんなに打たれ弱くはないはずなのにと思うのなら、認知症グレーゾーンかもしれません。
50代の女性であれば更年期障害の不定愁訴であることも考えられるので、検査をすればハッキリします。ハッキリすればスッキリし、悶々とした空気から解き放たれることでしょう。ところが多くは、原因がわからないから怖い、怖いから不安になって鬱々してしまいがちなのです。
普通の身体的な検査では原因がわからなくても、実はこのうつや不安の背景に認知症グレーゾーンが潜んでいることが稀ならずあります。この場合にはメンタルの専門家に相談されて、適切な薬物療法をしてもらうことで改善が期待できます。







