ところが、別の研究チームは2010年に異なる見通しを発表しました。温暖化対策として二酸化炭素の排出削減を続けていくと、1500年以内に氷期が到来するだろう、というのです。

北半球に届く日射量が
地球の気温を左右する

 そもそも、氷期と間氷期のサイクルはなぜ起きるのでしょうか。現在、多くの研究者の支持を集めているのが、セルビアの地球物理学者ミランコビッチが1910年代から40年代にかけて唱えた「ミランコビッチ・サイクル説」です。

 彼は30年以上にわたって「地球の軌道要素」と気温の変化の関係を計算し続けました。その結果、後で示す3つの要因によって、地球の北半球に届く日射量が少なくなった時に氷期が始まる、と予想したのです。

「北半球に届く日射量」が問題になるのは、北半球と南半球を比べると、北半球のほうが海洋に対して大陸の占める割合が多いからです。大陸は海洋に比べて温まりやすく冷めやすい(比熱が小さい)という性質を持つので、日射量の変化が気温の変化に結びつきやすいのです。

 また、いったん大陸に氷床や氷河ができると、氷が太陽光を反射するため、寒冷化にいっそう拍車がかかります。このために、北半球における日射量が減ると、氷期を招くことになるのです。

日射量に影響を与える
3つの「地球の軌道要素」

 では、日射量に影響を与える地球の軌道要素とは何でしょうか。

 1つめは「地球の公転軌道の離心率の変化」です。地球は太陽のまわりを、楕円を描いて公転しているので、太陽からの距離が軌道上で異なります。太陽にもっとも近づく「近日点」と、もっとも遠ざかる「遠日点」とでは、太陽から受ける日射量が約7パーセント違います。