ところが、公転軌道の離心率(楕円の潰れ具合)は、おもに木星からの重力の影響で変化します。その変動周期は約10万年で、離心率がもっとも大きくなると、近日点と遠日点とでは日射量が20パーセントも違ってくるのです。
2つめは「地軸(自転軸)の傾きの変化」です。現在、地軸は公転軌道に対して23.4度傾いています。地軸の傾きが季節による太陽の高度の変化をもたらし、それが日射量の違いとなって四季を生むことはご存じでしょう。
その地軸の傾き具合は、約4万1000年の周期で、22.1度から24.5度の間を変化します。これはおもに太陽と月の重力の影響です。地軸の傾きが小さくなると、夏の高緯度地方での日射量が少なくなり、北極圏の氷も溶けにくくなります。
3つめが「地軸の歳差運動」の影響です。地軸は現在、23.4度傾いていますが、その角度を(ほぼ)保ったまま、地球はゆっくりと首振り運動をしています。コマ回しのコマが、回転の勢いがなくなってくると首を振るようなもので、これを「歳差運動」といい、その周期は約2万6000年です。
現在、地球は北半球が冬の時期に近日点を、夏の時期に遠日点を迎えます。そのため北半球の夏は、太陽からの距離が遠いので日射量が比較的少なく、氷床が夏のうちに溶けにくい状態です。しかし、歳差運動によって地軸が現在と逆の方向に傾き、近日点で北半球の夏を迎えるようになれば、北半球の氷床が溶けやすくなるのです。
ただし実際には、歳差運動だけでなく、ほかの惑星の重力による「公転軌道の長軸方向の変化」も近日点や遠日点の移動に影響を与えます。そのため、近日点や遠日点をどの季節で迎えるのかは、約2万2000年の周期で変化することになります。
現在の二酸化炭素の排出量が
5万年後の気温を決める
以上が3つの要因です。「公転軌道の離心率が大きい」「地軸の傾きが小さい」「歳差運動によって北半球の夏を遠日点で迎える」、これらが重なると、北半球の夏の日射量が最小になります。これが氷期の始まりになる、というのがミランコビッチの主張です。







