総予測2026Photo:PIXTA

2025年は従来の脱炭素の流れを変える、国レベルの政策変更や企業の投資計画の修正が目立った。この傾向は26年も続く可能性が高い。特集『総予測2026』の本稿では、25年までに起きた世界の出来事とそれらの背景を分析した。果たして日本企業はどう動くべきなのか。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

ブラジルCOP30にまつわる話題は
開催前のビル・ゲイツ氏にあり

「脱炭素」から「脱・脱炭素」へと大きくかじを切ることが企業経営のスタンダードになるのか――。

 2025年は従来の脱炭素の流れを変える、国レベルの政策変更や企業の投資計画の修正が目立った。背景にあるのはエネルギー安全保障や国際競争力の維持、インフレ、経済合理性などだ。この傾向は26年も続く可能性が高い。

 ブラジル・ベレンで25年11月に開かれた、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)。化石燃料からの脱却に向けた行程表で合意に至らなかったことが大きな話題となった。もっとも、温暖化対策は開催前から話題を集めていた。米マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏が気候変動に関して提言をしたからだ。

 これまで多額の温暖化対策費を投じてきたゲイツ氏は自身のブログで、「気候変動は貧困国の人々の生命と生活にとって最大の脅威ではなく、将来もそうならない」「(温室効果ガス)排出量や気温変化よりも重視すべき指標がある。限られた資源を世界で最も貧しく、最も厳しい状況にある人々の生活の向上に充てよう」と、世界の政策立案者らに呼び掛けた。

 端的に言えば「緩和(温室効果ガス削減)から適応(影響への備え)へ」と解されたこの提言は、気候変動に関心を持つ世界中の人たちから「わが意を得たり」と賛同する声が上がった一方、「宗旨変えだ」という非難も巻き起こった。

 ゲイツ氏の“変節”と前後して、世界の脱炭素へのスタンスには変化が生じている。

次ページからは25年、米欧日の脱炭素へのスタンスはどう変化したかをつぶさに紹介する。米国における震源はやはり返り咲いた大統領にあった。日本企業はどう舵取りをすればよいのだろうか。