では将来、地球の1日の長さはどうなるのでしょうか。潮汐作用によって次第に長くなっていくことはおそらく確かですが、どの程度の割合で長くなるかは、何ともいえません。

 19世紀末と20世紀末とで自転速度を比較すると、1日の長さが約2ミリ秒長くなっています。このペースで1日の長さが伸びていくと仮定すれば、1億8000万年後には1日が25時間になると計算できます。このとき、月までの平均距離は約39万2000キロメートルと、現在(約38万4400キロメートル)よりも7600キロメートルほど遠ざかることになります。

 また、現在から6億年ほど経つと、地球と月との平均距離は41万キロメートル程度まで広がります。すると、月の視直径(見かけの大きさ)が常に太陽の視直径よりも小さくなるために、月が太陽をすっぽり隠す皆既日食が起こらなくなります。金環日食か部分日食だけが地球から見られるようになるのです。

世界の半数の人は
月を見ることができない

『眠れなくなる未来の宇宙のはなし』書影眠れなくなる未来の宇宙のはなし』(佐藤勝彦、宝島社)

 さらに遠い未来、今から100億年以上先には、月は現在の1.5倍ほど、約55万キロメートルまで地球から遠ざかります。そしてそこで安定して、これ以上離れていくことはありません。このとき、地球が1回自転するのに50日(50時間ではなく、50日!)近くもかかります。

 さらに、月が地球のまわりを公転する速度も遅くなり、地球の自転周期と同じ日数になります。これは、月と地球が常に同じ面を向け合うことを意味します。

 したがって、100億年以上未来の地球から見た月は、もはや昇ったり沈んだりしません。現在よりもずっと小さなサイズの月が、いつも空の同じ場所に位置しています。そして月とは逆側に位置する地球上の場所からは、月はけっして見えない天体になるのです。

 ただし、これは「もし100億年以上先の未来に、地球や月が存在していれば」の話です。おそらくそうした未来を迎える前に、地球も月も宇宙から消滅してしまうだろう、というのが天文学者たちの予想です。