「いつも、悩みすぎて損してる!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
「“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)
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「迷惑な臭い」にどう対処するか
パワハラ、マタハラ、カスハラ。とにかくなんでもかんでもハラスメントと名付けて騒ぎ立てる風潮が昨今の日本では蔓延している。その中で、かなりデリケートなものに「スメハラ(スメル・ハラスメント)」と呼ばれるものがある。これは、Smell=臭いによる迷惑行為のことだ。
例えば、オフィスで働く同僚が耐えがたい体臭を放って周りに迷惑をかけているようなケースがそれにあたる。オフィス以外でも、最近は様々な国から様々な階層の外国人が日本に押し寄せ、「満員電車に乗っている外国人の体臭が不快だ」というトラブルも聞こえてくる。
スメハラを注意するのは、パワハラ・マタハラと比べるとかなり難しい。異なる文化の人間が織り交ざると更に複雑になる。なぜなら、何が臭いか、臭くないかという感覚は、文化依存性が高いからだ。普段の食べ物や生活環境を起因とする、人間が発する臭いが不快かどうかには、絶対的な尺度がなく、文化や民族背景が異なる人々と一緒に過ごす空間での“基準”は難しい。日本人には気になる臭いが、外国人にとっては全く気にならないということもあり得るので、指摘を受けた方は不当な差別を受けたと解釈する可能性もある。
インドの「スメハラ」問題
インド駐在が始まってしばらくたった頃、私は、現地のコンサルティング会社が開催する新着任者向けの研修を受講した。そこでは、インドと日本の文化の違いについて一連の解説を受けたのだが、スメハラへの対応も解説されていた。
意外かもしれないが、インドのオフィスワーカーは、臭いにかなり注意を払っている。体臭が出ないように男性でも香水をつけていたりするし、体臭のみならず、臭いがでるようなものをデスクで食べないようにしている。その一方で、掃除係などの労働者は、まともにシャワーを浴びていないせいか、服を洗濯していないせいか、近くに寄ってくると気になる臭いがするのも現実だ。
研修では、「スメハラ問題は、一歩間違えると指摘した側が、人種差別や文化否定などとして法的に訴えられる可能性があるから非常に注意すべし」、「絶対に自分で本人に対して注意せずに、人事部や総務部に相談せよ」という指導を受けた。
インド人のすごい解決策
裁定者がいる職場ならまだしも、14億人が主張し合う環境で、こういった厄介な問題をどのように整理しているのか。インド民が世に放った解決策は、日本人では思いつかないものである。
その考え方を一言で言うと、「そもそも、合わないものを無理に一緒にしない」という割り切りだ。
何もかもを一緒にして折衷案を見つけようとして全員で苦悩するよりも、彼らはその問題に対する最短の解決策をシンプルに考え出す能力が高い。
電車の車両も1等から2等、3等、エアコン無しまで何種類にもクラスが分かれており、価格が何倍も異なっていて、それぞれ全く異なる客層が乗っている。先述の掃除係などは、少し離れた場所に席を設置したり、食堂の利用時間をずらしたり、施設によってはそもそも食事をする場所が異なったりしている。
単純化するインド人
あまりに差がある民族や社会階層を無理やりまとめあげることよりも、それぞれが我が道を行くというほうが合理的な場合がある。着地点のない人権論やその瞬間の空気に支配されずに実利や合理性を追求するインド民の考え方には、多様性待ったなしの社会をどのように切り盛りするかの一つの解がある。それは、すぐに西欧米のやり方が先進的だと思い込んでしまう現代日本人への強力なアンチテーゼだ。
周りの意見に耳をかたむけるあまり、解決策が見えない闇の中を進んでいる人にとって、『インド人は悩まない』は、その悩みから解放するための新しい風を送ってくれるはずだ。彼らのように、物事をもっと合理的に捉えて単純化すれば、あなたも、日常の生活で思い悩むことが少なくなるかもしれない。
(本記事は『インド人は悩まない』の一部を調整・加筆・編集した原稿です)









