自衛隊独自の階級呼称の
意外なデメリットとは?

 1950年に警察予備隊が創設された際、「この組織は軍隊ではない」という建前のもと、階級には警察風の呼称を採用。1954年に自衛隊が発足すると、「1佐・2佐・3佐」などと数字で序列を示す、現行の体系を確立させた。

 自衛隊は旧軍との「断絶」を図るため、意図的に従来型の階級呼称を避けたのだ。なお、呼称の英語訳(General、Colonel、Captainなど)は諸外国の軍隊と同じである。

 ところが、この改革からさらに70年が経過する中で、自衛隊独自の体系にはデメリットが浮上してきた。その代表例が、冒頭で触れた「国民が理解しづらい」というものだ。

 それ以外のデメリットとしては、諸外国との「ズレ」が挙げられる。

 例えば、北大西洋条約機構(NATO)は、加盟国の軍隊における階級を共通の符号(コード)で整理している。

 具体的には、「大将」に相当する階級には「OF-9」、「大佐」には「OF-5」といったコードを割り当てることで立場を明確化し、複数国家の軍人が関与する場面で「序列の誤解」が生じるのを防いでいる。

 国家をまたいだ階級制度の整理は、軍隊内に「大将・中将・少将・准将」といった役職が存在するなど、共通点が多いからこそ成立する。

 一方、自衛隊の将官は「幕僚長・将・将補」の3段階であり、「准将」が存在しないなど、構成に細かなズレがある。こうした事情もあり、国際的な取り組みで「相手国と同格の役職者(カウンターパート)」を起用するに当たって、細かな調整が必要になるケースが出てきている。

 また、日本国内の公的機関における序列が分かりづらいことも課題として挙げられる。

 米国では、軍人の階級と連邦政府の文官ポストをひとまとめにして、序列を明確化する「Equivalent Grades」という仕組みがある。これによって、横断的な体制を組む際も「誰が偉いのか」が一目で分かる。

 だが、日本では自衛隊・警察・海上保安庁といった“制服組織”ごとに階級制度が大きく異なる。米国のように組織をまたいだ序列が明確になっているわけではなく、立場の上下があいまいなままである。この点は近い将来議論されるべきだ。

 なお、筆者はこのたび各種資料を基に、NATO・米軍と自衛隊・警察・海上保安庁の序列を横断的にまとめた表を独自作成したので、参考までにご参照いただきたい。