「1佐と呼ばれるのは惨め」
現役自衛官が吐露するワケ
一方、賛成派である1等陸佐は、次のような心情を吐露した。
「国際法上、自衛隊は『軍隊』であり、自衛官も軍人として扱われる。階級呼称は名誉に関わるので、変えられるならば変えてほしい。海外の軍人には『大佐』と呼びかけ、自分は『1佐』と名乗らなければならないのは惨めだ」
こうした「心の問題」は、経験した者でなければ分からないだろう。
実質的には同格なのに、外国の軍人には世界で通用する「大佐」という称号が与えられる。一方の自分は、日本国内でも認知度が低い「1佐」。「事実上の軍人」なのだから、立場にふさわしい階級呼称にしてほしい――。
命をかけて国民を守る自衛官に、こうした不満を抱かせたままにすると、「士気低下」という軍事組織における大問題に発展するリスクもある。
他にも、筆者が話を聞いた陸自の曹長は「幹部の階級呼称変更には賛成。一方で、『1士・2士』が『1等兵・2等兵』になる可能性もあるようだが、これは時代錯誤だ。若い人に受け入れられないと思う」と俯瞰的に語ってくれた。
胸の内にはさまざまな思いを抱えているが、現役の自衛官に共通するのは「表立って声を上げられない」ということだ。
自衛隊員の「服務の宣誓」には「政治的活動に関与せず」と明記されている。たとえ自身に関係する問題であっても、呼称変更が「政治的イシュー」に発展すれば意思表示ができなくなるのだ。
自衛隊の階級呼称変更のニュースを見聞きした際に、「単なる名前の話なのに、なぜ大ごとになっているのか」と疑問に思った人がいるかもしれないが、丁寧な議論が必要である理由についてお分かりいただけただろうか。
最後に筆者の意見を述べておくと、「防衛庁」が「防衛省」になる際も「専守防衛の原則から逸脱する」「軍事国家への回帰につながる」といった反対論があった。
それが今では、防衛省という呼称に違和感を覚える人はほとんどいないだろう。むしろ「省」に昇格することによって、日本の防衛体制が強化された側面がある。
だからこそ自衛隊の階級名も、国内外を問わず、立場と権限が一目で分かる形にするべきではないか。世界で通用する「ラベル」を与えることが、国を守る自衛官への正当な評価につながるはずだ。








