――知財部長の片山さんにお伺いしますが、アカデミアとの共同研究や企業との提携において、知財部はどのような役割を担っているのでしょうか。

片山 社員の半数近くが研究に関わる人間ですし、まさにそこが企業としての事業基盤を担うものですから、知財部門として提携先や共同研究の設計については、かなり意識しています。

 例えば筑波大学や東北大学とは包括的な共同研究契約を結び、その中で生まれた知財を一定の条件で予約承継するスキームを取りました。現在は特に医学部との連携が増えています。

 これは日本のアカデミアでも、社会実装を視野に入れた研究に積極的な土壌が生まれつつあるというだけでなく、研究者や技術者へ価値を還元したいというわれわれの企業姿勢も評価いただけたうえでのことと自負しています。

 最初は広く種をまき、多産多死で生き残らせていく。その過程で会社としての戦い方が見えてきたら、今度は逆算して、必要な領域の大学と連携する。つまり、提携設計そのものが知財戦略と直結しているわけです。

――特許庁が推進するIPランドスケープ(注1)は活用していますか。

片山 もちろん活用しています。例えば、新規事業や提携の検討段階で、その分野の特許動向やプレーヤーのポジションを生成AIも活用しながら素早く俯瞰(ふかん)する。生成AIを使えば、特定分野の出願動向や主要プレーヤーの布陣は瞬時に可視化できる。1カ月前と比べても、生成AIの分析精度やスピードは格段に上がっている実感がありますね。

 ただし「IPランドスケープに取り組みます」という旗印を掲げてはいません。IPランドスケープを旗印に掲げること自体は、知財部門のプレゼンスを自社の経営者に示す目的もあると思いますが、当社はそもそも経営側の知財意識が強いので、わざわざ旗を立てる必要はないと思っています。

(注1)特許などの知的財産(IP)情報を分析・可視化し、その結果を経営や事業戦略の立案・意思決定に活用する手法

経営戦略において知財を
一つの武器として考える

――経営戦略の視点で、知財をどう見ていますか。

木本 今思うのは、企業のフェーズによって考え方が変わるということです。