村上 塩野義製薬さんはエレクトロニクスの開発・製造はしていないので、そこは私たちが補って最終的に形にしましたが、当社は自社で最終製品まで作ることにこだわっているわけではありません。

 当社ではこの他にも吸音材シリーズの「iwasemi」や超音波によるスカルプケアデバイスである「SonoRepro」など、波動制御技術をコアにした製品群を展開していますが、目的は最終製品を作ることではなく、社会実装して社会に価値を出すことです。

 協業企業が開発・製造の力を持っているなら、ライセンスでもいい。社会価値を出すために必要なコンポーネントで足りないところを埋めていく、という柔軟なやり方で事業を展開しています。

経営資源の中心は知的財産
つまり、経営戦略そのもの

――アカデミアのROI向上を目指すピクシーダストにとって、知財の位置付けは経営戦略そのものといえそうです。

村上 そうですね。特許に限らず知的財産全般が経営資源の中心にあります。私たちには研究開発と社会実装の2つの役割があると思っていますが、まずは研究開発が軸になっていて、それがライセンスになったり、最終製品になったり、途中の部材として出たり、いろいろな形に変わって社会実装されていく。

 その中心軸に何があるかと言われたら、知的財産がある。ですから知財戦略は経営戦略そのものといっても差し支えないかもしれません。

――その知財戦略の「哲学」について、知財部門のリーダーである木本さんから聞かせてください。

木本 意識しているのは、ピクシーダストテクノロジーズという組織の中で「いろいろな企業を相手に知財戦略をサポートしている」という感覚です。

 当社にはプロダクトが複数ありますが、例えば5つのプロダクトがあるとしたら、5つのスタートアップがそれぞれ別個に動いているようなイメージです。無理やり一つの知財戦略にまとめることは正しいとは限らないので、一つ一つ違う会社であると捉え、一つ一つ違う知財戦略が必要だと思って向き合うようにしています。