「二人で稼いでいるから大丈夫」という根拠なき過信がブレーキを失わせた

「キャッシングの返済が追いつかなくなって、本当に苦しかった……」と千恵子さんは吐露します。不安に押しつぶされそうになり、自分のお小遣いを削って必死に耐えていました。

 それなのに、事態を楽観視している昭雄さんは、相変わらず無頓着。スマホ決済の履歴を見れば、コンビニコーヒーから数千円のサブスク、限定品の衣類まで、目に見えない小さな支出が際限なく発生し続けている状態でした。「二人で稼いでいるから大丈夫」という根拠のない過信が、ブレーキを失わせていたのです。

 仕事では数千万円、数億円という予算を動かし、クライアントには「効率化」を説く昭雄さんですが、こと自分の「足元の支出」に関しては、驚くほど感情的で無頓着な判断を繰り返していました。

 幸い、1年続けた投資の評価額は、運用益を含め370万円弱になっていました。NISAはいつでも現金化が可能です。今の馬場さんに必要なのは、含み益のパーセンテージを眺めることではなく、お金のストレスから解放されること。いったん投資商品を売却して借金を完済し、ゼロベースでやり直すべきでしょう。

 馬場さんご夫婦の問題は、投資の手法云々ではありません。「身の丈に合った支出をする」という家計の基本を無視し、見栄と焦燥感に突き動かされて、一番大切な「キャッシュ」を枯渇させてしまったことにあります。細かい節約テクニックを探す前に、まずは「いくら稼ぎ、いくら使い、いくら借金があるのか」という現実を直視できていなかったのです。

 将来のために投資を取り入れることは、これからの時代に欠かせない視点です。ただし、それはあくまで「自分の家計状況に合わせて」行うべきものです。見栄や流行に流され、浮足立ったまま始めていいものではありません。まずはしっかりと地に足をつけ、自分たちの状況を見据えながら、投資と付き合っていくことが大切なのです。