このように、「自分や相手のタイプに合わせて設計する」ことを心がけつつ、4つ以上のメリットを書き出すことで、脳は未来を具体的にイメージし、期待値が高まります。

 するとドーパミンが分泌され、「その目標を達成したい」「行動を起こしたい」「努力を続けたい」という内発的動機が生まれます。

 人を行動に駆り立てるのは「報酬や評価」ではなく、「期待によって引き出されたドーパミン」なのです。

「遠すぎるゴール」は
期待どころか絶望を生む

 もう1つ気をつけなければならないのは、ゴールは近すぎても遠すぎてもいけないということです。

 ゴールが近すぎてすぐに達成できてしまう場合、期待が生まれずドーパミンが出ないため、やる気が起きません。

 東京の人が一番行かない割合が多い観光地は東京スカイツリーという調査結果があります。それは、「いつでも行ける」と思っていて、ドーパミンが出ないことが理由の1つかもしれません。

 多少の困難があるからこそ、人は達成したときにもたらされるメリットに対し、期待を抱くのです。

 逆に、ゴールがあまりにも遠すぎる場合も、期待は生まれません。

「100兆円企業を目指そう!」「世界のトップクラスに入ろう!」といきなり言われてもやる気が起きないのは、目標が遠すぎて、期待どころかむしろ絶望が生まれ、ドーパミンが出ないからです。

 職場でよくあるのが、優秀なプレーヤーがリーダーになったときのすれ違いです。

 自身が優秀で、かつゴール型のリーダーは、「高い視座で大きな目標を示せば、みんなが自然にやる気を出すはず」と思い込みがちです。

 ところが実際には、遠すぎるゴールに部下はついていけません。

 するとリーダーはいらだち、「なぜやれないのか」「意識が低い」と部下を責めます。その結果、チーム全体のドーパミンが枯渇し、部下はますますやる気を失ってしまうのです。

「当たり前の目標」だと思っているのはリーダーだけで、部下は絶望している。

 ゴールが遠すぎることは、組織にとっても最悪の落とし穴だと言えます。