顧客のあだ名を新聞に寄稿や
差別やセクハラを店内放送…
先の退職者は一体どんな気分だろうか。痛快か、それとも後悔しているか――。辞めた職場のことなど気にもかけていない可能性も高いが。ちなみに海外でのリベンジ退職では、こういう事例もあるそうだ。
・大手金融機関の退職者が、「顧客のことを“操り人形”と呼んでいた」と大手紙に寄稿し暴露
・有名小売チェーン店の従業員が、差別やセクハラの実態を店内放送し、その場で辞職
・有名ファストフード店の従業員が、ドライブスルーの窓に「全員、辞めました」と貼り紙をして一斉退職。店は営業休止に
とまあ、調べたらキリがないほど出てくる。退職メールや退職を告げる際の動画をネット公開したり、その職場の問題をぶちまけたりとさまざまだ。個人が大胆な行動によって失うものに比べて、企業が被るダメージのほうが大きいと感じる。
傍観者の多くは、リベンジ退職者の言動を見聞きして「こんなことするなよ」と呆れる気持ちと、「こんなことしたくなるのも、分かるわあ……」という共感と、半々ではないだろうか。心の奥底では「俺も・私もやってみたいけど……」などと自分を重ねているに違いない。まるで、ヒーローが悪者をやっつけるのを見届けるかのようだ。
なぜリベンジ退職が増えているのか
上がらない賃金、空前の人手不足
リベンジ退職が増える背景を分析していこう。まず、相対的な賃金下落が挙げられる。賃上げのニュースは出ているものの、日本の実質賃金は依然としてマイナスだ。長期間、自分の賃金に疑問を感じている人は多い。
そもそも実質賃金どうこうではなく、自分の働きに応じた賃金が支払われていないと不満を持つ人は多い。さらに、空前の人手不足により、新卒や若手が高い給与と良いポジションを与えられる理不尽を目の当たりにしている。
リベンジ行為をする心理は、「自らが職場で尊重されていない」と思ったからに尽きるだろう。質の低いマネジメントや、低評価にも憤っている。
次に、SNS上での暴露がニューノーマルになった点だ。共感を生もうが、非難されようが、バズることで世界中の人の耳目に触れて、その模倣者が生まれる。
そして良くも悪くも、若年世代の意識が変わった。就職イコール同じ会社に生涯勤めることではないし、合わなければ次に行けばいい。
ちなみに筆者は、職場に対して「シチュエーションシップ」と表現する人が一定数いると知ってちょっとショックだった。メンバーシップとは違い、シチュエーションシップとは一時的な関係を指す。職場は更新・代替される対象に過ぎないという前提だ。







