「深夜のコンビニでバイトしていて、昼夜逆転してるので、ほとんどカーテンは開けないんです」
淡々と語る。
台所取材において他薦は自薦にはない難しさを伴う。なにより、他薦だと、紹介者と当事者の間に温度差がある。軽い気持ちで協力したはいいものの、どこまでインタビューで心の内側まで踏み込まれるかを想像していない。自薦の人より、ガードを外すのに時間を要するのである。
加えて、彼はシャイで口数が少なかった。コンロは、卓上型のIHひとつで「湯を沸かす以外に使っていません」。野菜はこの6年間、群馬への帰省以外で食べていない。
部屋はこたつとギターと音楽機材で埋まり、全身から「自分なんかで紙幅がうまるのか」という空気がにじみ出ていた。
1日1~2食しか食べず
食に対するこだわりも皆無
「俺、食や台所について、なんのこだわりもないし……」
「いいのいいの。ありのままの台所を撮りたいだけなの」
なんか、おもしろい企画っすね。ひとりごとのようにつぶやくと、ギターの手入れを始めた。私はその傍らで、ひたすら端から撮影していく。
がらんとしたミニ冷蔵庫の中身は、プリンとヨーグルトが4つ、醤油と焼肉のたれ、トマトジュース1本のみ。バイト先のコンビニの決まりで、賞味期限切れの弁当はもらえない。そのかわり、プリンやヨーグルト、ゼリーだけはもらえるそうだ。
学生時代からアパートの部屋に鍵をかける習慣がなく、サークルの友達が勝手に入って泊まっていく。焼肉のたれはかつての宴会の名残だ。
シンクの横に洗濯機があり、蓋の上に靴下の片方と保温ポットが乗っていた。冷蔵庫の上には電子レンジと消臭スプレーが2本。
「皿を洗わないとすぐ生ごみ臭くなるので、消臭スプレーは必需品です」
湯は出ない。節約のため、半年前にガスを解約した。水風呂でやってきたが、本格的な冬はこれから初めて体験する。まあ、なんとかなるんじゃないかなと意に介さない。
食事は1日1食か2食で、まったく食べない日もある。毎日コンビニでおびただしい量の食品を見ているからか、あまりお腹が空かないそうだ。







