スポーツや武道に子どもが取り組む価値はあるのでしょうか?筆者は極めて高い投資対効果が見込めると考えます。
ただしそれはプロになって高い報酬を得る可能性があるという意味ではなく、スポーツや武道に取り組んだ環境が、社会で生き抜くための強力な「OS(基本ソフト)」を構築し、アップデートし続けるための土台をつくるという意味です。どういうことか、二つの調査結果を見てみましょう。
ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授が提唱する「グリット(やり抜く力)」研究では、ピアノやスポーツのような「構造化された課外活動」※を2年以上継続した子どもは、そうでない子どもに比べて、グリットのスコアが有意に高いことが分かりました。
※「指導者の存在」「目的のある練習」「長期的目標」の3つの要素を満たすものを指す
2014年発表のコーネル大学の調査では、931人を対象に、高校時代のスポーツ経験がその後の人生にどのような影響を与えたかを調べました。その結果、先行研究で得ていた「元アスリートは高収入を得やすい」という傾向に加え、キャリアにおいて「リーダーシップ」「向社会性」が有意に高く、経営幹部など社会的地位の高い職業に就いている割合が高いと確認されました。
スポーツはサボればすぐに体力が落ち、練習しなければ試合で負けるという「行動と結果の因果関係」が明確です。こうした環境下で、「昨日の自分を超えるために今日努力する」というプロセスを体感レベルで刻み込むと、仕事や予測不能なトラブルといった「正解のない困難」に直面した際の粘り強さの源泉となるといえます。
しかし、ここで非常に重要な注意点があります。同じ練習をしていても、やる気、自制心、協調性、やり抜く力などの非認知能力が「身に付く子」と「身に付かない子」がいるという残酷な事実です。
この差を生む決定的な要因は何か……。それは、才能でもコーチの質でもありません。親の「スタンス」と「関わり方」です。







