「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

【専門家が指摘!】こどもの言語化力を伸ばす「本の読み方」にはコツがあった!Photo: Adobe Stock

本が好きなのに、語彙が増えない理由は?

「うちの子は本を読んでいるから大丈夫」

 そう思って、安心している親御さんもいるでしょう。もちろん、読書はすばらしい習慣です。語彙も豊かになり、さまざまな情報に触れることで、その子の世界も広がります。

 しかし、本を「読んでいること」と、言葉を「使えること」は、イコールではありません。黙読だけでは、読み流してしまうことがあるからです。目で文字を追い、なんとなく内容を理解した“つもり”になる。脳での処理が浅くても、読み進められてしまうのが黙読の特徴です。

 そこで取り入れたいのが「音読」です。
 音読は、視覚で入力した情報をいったん脳で処理し、声として口からアウトプットする行為です。情報が脳を通過する過程で、「書き言葉(文字)と話し言葉」の結びつきが強まります。このプロセス自体が、言語化のトレーニングになります。

 また、音読では自分の声を耳で聞きます。聴覚から再び脳に入力され、理解が強化されます。しかも、発声時の振動は骨伝導として脳に伝わります。

 つまり、視覚・発話・聴覚・骨伝導という複数の回路を使って学習が行われるのです。

音読の「もう一つのメリット」とは?

 音読には、もう一つ大きなメリットがあります。
 それは「理解のあいまいさが露呈する」ことです。音読の場合、黙読よりも内容が頭に入りやすいため、理解できない箇所で引っかかりを感じ、「これはどういう意味だろう?」と立ち止まることができます。このときに言葉の確認が行われるのです。

 さらに、自分の口で発した言葉は、身体感覚と結びついて記憶に残ります。くり返し音読することで、言葉や表現がストックされ、いざ自分の考えを伝える場面で自然と引き出せるようになります。

 言語化力とは、頭の中のモヤモヤを、的確な言葉に変えて出力する力のこと。そのためには、インプットとアウトプットを往復する練習が有効です。

 音読は、その往復運動を手軽に実践できる方法です。

 拙著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』の中でも、遊ぶだけで言葉のインプットとアウトプットを往復できるゲームを多数紹介しています。

 *本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。