組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進写真はイメージです Photo:PIXTA

オンラインで仕事をすることが当たり前になって、雑談の時間が少なくなって困るという人は多い。仕事上の連絡や会議は滞りなくできるのに、何かが足りない――そんな気持ちになるのは不思議なことではない。しかし、今と昔では単に雑談する機会を作るというだけでなく、「雑談する時の心構え」を変えた方が良さそうだ。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

雑談がないとビジネスが滞る

 リモートで仕事ができるようになり、会議は滞りなく進む。業務連絡も問題ない。資料共有も意思決定も、むしろ効率は上がった。それでも、なにか変だ。仕事が「進む」わりに、「整っていかない」。

 その理由として、よく挙げられるのが「雑談がなくなったからではないか」という指摘だった。

 では、雑談はなぜ必要なのだろうか。そう聞かれると、案外、明確な答えを口にするのは難しい。よく言われるのは、たとえば次のような理由である。

 雑談があると、場の空気が和む。本音が出やすくなる。信頼関係ができる。チームワークがよくなる――。どれももっともらしいし、実感とも合う。多くの人はここで「なるほど、雑談は大事だ」と一度うなずく。

 とはいえ、その「なぜ大事なのか」をもう少し掘り下げると、雑談の役割は、もう少し違ったところにある。

なぜ雑談が成り立たなくなったのか

 会議や議論は常に何かを求める。判断、結論、責任、正解……会議中の発言にはそれなりの「重み」がつきまとい、立場や役割が前提になる。

 一方、雑談は違う。雑談では、何も決めなくていい。何もまとめなくていい。何も記録に残さなくていい。判断を保留したまま、人は同じ場にいられる。上司でも部下でもなく、専門家でも担当者でもなく、ただの1人の人間として並んでいられる。雑談とは、判断と役割から一時的に解放される時間であり、組織にとっては、その余白こそが重要になる。

 雑談の価値は、会議などと違って、役に立たないことにこそ意味があるのだ。問題は、その大事な雑談が、いまや成立しにくくなっているという現実だ。