建設財源の問題を
抱えるJR西日本

 財源問題と切り離せないのがJR西日本だ。全体の7割、計約490億円の貸付料を負担するJR東日本はエリア内の整備新幹線事業が完了し、貸付料を払うだけの立場になっているのに対し、JR西日本は敦賀~新大阪を残している。しかも、同区間は総事業費が約5兆円に達する試算もあり、財源確保は最重要課題だ。しかし、JR各社の要望が通れば財源は圧迫され、事業そのものの存立さえ危ぶまれる。

 実際、ヒアリングでも「貸付料が今後の整備新幹線の整備費用の原資となり、額が低ければ、北陸新幹線(敦賀・新大阪間)の延伸が遅れるとも言える状況」との指摘が出たが、その回答はある意味で意外なものだった。

 同社は「開業時期がはっきりしないというのは、会社として大きな課題であり、まずは完成時期を確定いただきたいと考えている」とした上で「整備新幹線は上下分離方式であり、借り受けの対価を払うという考えは変わらず、建設財源とは分離されているものと考えている。北陸新幹線の延伸について早期にという思いはあるが、経営を毀損(きそん)してまで負担することは難しい」と明言したのである。

 建設財源確保のため貸付料増額を狙う国交省と財務省の主張と問題点は、前回記事で触れたため省略するが、いずれにせよJR西日本が貸付料と建設財源を線引きしたことで、JR4社と国という対決構造が明確になった。

 整備新幹線にまつわるカネの話は極めて難解だ。そのため整備スキームの解説はあっても、財源スキームを論じたものがほとんどないのが実情だ。これまで取材を重ねてきた筆者は、外部の人間としてはかなり詳しい部類に属する自負はあるのだが、調べるたびに新しい発見があり、未だに全貌はつかめていない。

 理由のひとつにJRと国交省がこれまで情報公開に消極的だったことが挙げられる。JRにはJRの、国には国の主張がある。同様にJRに運賃・特急料金、国に公共事業費の原資たる税金を支払う私たちも当事者である。今後の整備新幹線の在り方は開かれた議論で決めなければならない。