「ビカク飼ってまして」「ええ!」
副島と花畑が出会うシーンが最高
花畑は荷物を受け取ってすぐにドアを閉めようとするが、副島は思い余ってそのドアを抑えるのである。
「えっ、ちょ、えっ、なんですか? 低評価しますよ、警察呼びますよ!」と狼狽える花畑に向かって、副島は「自分もビカク飼ってまして、あまりにも立派な貯水葉だったので……」などと言い募る。
通報より先に「(配達員への)低評価」を先に言う花畑のセリフも面白いのだが、対する副島の、短いセリフの中に「ビカクを飼う」「立派な貯水葉」と、マニアからしか出てこないであろう言い回しや単語が出てくるのがおかしい。
副島の熱意はドン引きされ、いったんは「お帰りください」とドアを閉められてしまうのだが、再びインターホンを押した副島は「副島と申します」「あの、自分の名前、副島と言います」と早口で名乗る。
すると花畑の表情が変わり、「もしかして、ソエジマニアさん?」とスマホ画面を見せるのである。画面には、副島が「soejimania」の名前でやっているInstagramのアカウントが表示されている。「ええ! それなら最初から言ってくださればいいのに!」「僕、前からフォローしていたんです」と花畑は大喜びし、副島は家に招き入れられる。
ちなみに画面をよく見ると、副島はフォロワー数は680人で、有名インフルエンサーとは言えないはずである。このあたりの慎ましさもなんとも微笑ましく、その680人のフォロワーの中の一人と偶然出会えたんだね、良かったねと一緒に喜びたくなる。
とにかく、いかついおじさん副島と、気弱そうなおじさん花畑、二人のおじさんのビカクシダを介した出会いの場面が最高なのである。最終回までは、自分の部屋の理想の世界を作り上げ「一人の世界」を楽しんでいる感が強かった副島だが、最終回で同胞を見つけ出す。
番組公式Instagramのコメント欄では、二人の演技への評価も高い。ついつい何度も見たくなってしまう名場面であり、843万回再生されているのも頷ける。未見の方はぜひご覧いただきたい。
深夜らしいニッチな設定のショートドラマではあるが、SNSでは続編を望む声も多く、反響は上々のようだ。
植物という静かな趣味を通じて、思いがけずつながる二人のおじさん。派手な事件が起こるわけではないが、偏愛が人を結びつけるその瞬間はどこか温かい。ショート動画があふれる時代にあって、こんなささやかな出会いの物語がじわじわと支持されているのも、いかにも令和らしい現象なのかもしれない。







