好かれるおっさんの
コンプライアンス意識とは

 今は違う職場で働く倉持と、去年の今ごろに飲んだ際、ホワイトデーのランチを続けているかどうかを尋ねたら「もちろん」という答えが返ってきた。

 今のご時世、そんなことをしていたら足元をすくわれかねないぞと忠告すると、彼は驚いた表情を見せた。

「えっ? お前のほうこそ考えすぎだよ。そこまで気を使ってたら仕事なんかできないだろ。コンプラで追い込まれるヤツは、普段から部下との信頼関係が築けてないんだと思うよ。今の後輩たちを見ていると、部下に対して異常に窮屈そうにしていて、それが若い子たちにも伝わってて、両方が不幸に思えてならないよ」

 “人生の指標”となる言葉の数々を収録している本、『人生は期待ゼロがうまくいく』の中には「『独自のオーラ』を身にまとう」という項目があり、著者のキム・ダスル氏はこうした人たちの共通点をいくつか挙げている。

 11の特徴が列挙された中に、「自分の選択に自信がある」という一文がある。

「オーラのある人」とは、自分の美学の持ち主で、マインドや言葉遣い、しぐさ、ファッション、スタイルまですべてに品がある。カリスマ性があり、人間的に「できた人」でもある。

 生まれつきのものかと思われがちだが、そうでもない。彼らは長い人生の中で思い悩み、壁にぶつかり、もがいてきた。
 そうした試行錯誤のなかから、少しずつ自分なりのルールを定めて取捨選択を行いながら、自己を確立してきたのだ。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.73)

 倉持は、今でも部下に厳しい一面もあると聞くが、それが職場で問題になったことはないという。彼は、「自分の選択に自信がある」のだ。

 逆に、コンプラを盾に部下に刺される人は、そもそも人間的に「できた人」ではないのかもしれない。

(本記事は『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した書下ろしエッセイです)

柴田賢三(しばた・けんぞう)
大学卒業後、複数の出版社や不動産会社での社員を経てフリーライターとして独立。週刊誌、月刊誌、WEBメディアなどで記者、編集者を経験した。事件、芸能、スポーツ、サブカルチャーまで幅広く取材に携わり、のちに新聞やテレビでも大きな話題になったスクープをモノにしたこともある。